『後漢書』を出典とする四字熟語 — 132 件
『後漢書』(ごかんじょ)を出典とする四字熟語を一覧で紹介します。各四字熟語の読み方・意味もあわせて確認できます。全132件を五十音順に掲載しています。
四字熟語一覧(五十音順)
為善最楽(いぜんさいらく)「東平憲王蒼伝」
善い行いをすることが一番楽しいことであるということ。 「善(ぜん)を為(な)すこと最も楽(たの)し」とも読む。
位尊身危(いそんしんき)「馮衍伝」
地位も財産も大きすぎるよりは適度がよいということ。 地位が高くなると、大きな責任を負ったり敵が多くなったりして危険が増えるという意味から。 「位(くらい)高(たか)ければ身(み)危(あや)うし」とも読む。
一夜十起(いちやじっき)「第五倫伝」
人は多かれ少なかれ私心や私情に左右され、私心を全て捨てさることは難しいということ。 「一夜(いちや)に十(と)たび起(お)く」とも読む。
一割之利(いっかつのり)「班超伝」
凡人でも、たまには役に立つこと。 鉛でできた切れ味の悪い刀でも、一度はものを断ち切ることができることから。
一夕九徙(いっせききゅうし)「蘇不韋伝」
一晩の間に何度も居場所が変わること。 または、一定の居場所にいないため、どこにいるかわからないこと。 「一夕」は一晩。 「九」は数が多いことのたとえ。 「徙」は移動すること。 中国の後漢の時代の李コウは、暗殺を恐れて夜中に何度も居場所を変えていたために、同居している人ですら居場所が分からなかったという故事から。
飲鴆止渇(いんちんしかつ)
後のことは何も考えずに目先の利益を得ること。 または、一時逃れをして、後から大きな災いに遭うこと。 「鴆」は羽に猛毒をもつ鳥の名前で、その鳥の羽が入っている酒を喉の渇きを癒すために飲むことから。 「止渇飲鴆」ともいう。
烏合之衆(うごうのしゅう)
からすの群れは無秩序でただ集まっているだけということから、規律も統制も何も無く寄せ集めの集団や軍隊のたとえ。
雲泥之差(うんでいのさ)「矯慎伝」
比べることができないほど大きな相違があること。 「雲泥」は天空にある雲と地上の泥のこと。 雲と泥には大きな違いがあるという意味から。
雲泥万里(うんでいばんり)「矯慎伝」
非常に大きな差があること。 「雲泥」は空の雲と地上の泥。 「万里」の「里」は距離の単位で、「万里」は非常に長い距離のたとえ。 空にある雲と地上にある泥には、非常に大きな開きがあるという意味から。
盈満之咎(えいまんのとがめ)「折像伝」
「満ちれば欠ける」という道理のことをいい、物事が最高点に到達するとかえって災いを招くという戒めのこと。 「盈満」は十分に満ちること。
燕頷虎頸(えんがんこけい)「班超伝」
武勇に秀でた、勇ましい武者の容姿のたとえ。 または、遠い国の諸侯となる人の容姿のたとえ。 燕のような顎と、虎のように太い首のことで、武勇に秀でた人物の骨相をいう。 中国の後漢の班超は筆書の仕事をしていたが、武功を上げたいと占い師に聞くと、遠い地域で諸侯になる人相だと言われ、万里の長城の外で武功を上げ、定遠侯に封じられたという故事から。
燕頷虎頭(えんがんことう)「班超伝」
武勇に秀でた、勇ましい武者の容姿のたとえ。 または、遠い国の諸侯となる人の容姿のたとえ。 燕のような顎と、虎のような頭のことで、武勇に秀でた人物の骨相をいう。 中国の後漢の班超は筆書の仕事をしていたが、武功を上げたいと占い師に聞くと、遠い地域で諸侯になる人相だと言われ、万里の長城の外で武功を上げ、定遠侯に封じられたという故事から。
燕頷投筆(えんがんとうひつ)「班超伝」
思い切った決意をして志を立てること。 または、文章を書く仕事をやめて、武の道に進むこと。 「燕頷」は燕のような顎という意味で、強く勇ましい人の人相。 「投筆」は筆を捨てること。 中国の後漢の班超は、筆書の仕事をしていたが、武功を上げたいと思い、筆書の仕事を止めて武将になったという故事から。 「燕頷(えんがん)筆を投ず」とも読む。
怨気満腹(えんきまんぷく)「祭祀志」
恨みの感情が極めて強いこと。 恨みの感情が腹に満ちるという意味から。 「怨気(えんき)腹に満(み)つ」とも読む。
鉛刀一割(えんとういっかつ)「班超伝」
普通の人でも力を発揮する時があることのたとえ。 または、二度使うことができないことのたとえ。 切れ味の悪い鉛の刀でも、一回切るくらいは使えるという意味から。 主に少しでも力になりたいということを謙遜していうときに使う言葉。
開雲見日(かいうんけんじつ)「袁紹伝」
心配ごとがなくなって、将来に希望がもてるようになること。 「開雲」は日の光を遮る暗く厚い雲が晴れるということで、心配ごとがなくなることのたとえ。 暗い雲が晴れて日の光がさすという意味から。
開心見誠(かいしんけんせい)「馬援伝」
「心を開いて誠を見す」とも読み、隠し事をせず誠意をもって相手と接すること。 「開心」は心を開くという意味から隠し事をしないという意味。 「見誠」は誠意を見せること。
海内奇士(かいだいのきし)「臧洪伝」
この世で比べることができないほど優秀な人物。 または、行動や言動が普通の人とは違う奇人、風変わりな人のこと。 「海内」は世界や国内、四海の内のこと。 「奇士」は普通ではない言行で優秀な人物や、普通とは違う豪傑のこと。
鶴鳴之士(かくめいのし)「楊賜伝」
才能や能力があっても、世のために使われることなく、世間から認められていない賢者のこと。 または、公職についていない賢者のこと。 「鶴鳴」は鶴の鳴き声のこと。 山奥に隠遁している賢者をたとえた言葉で、山の中から鶴の美しい鳴き声は聞こえるが、姿を見ることは出来ないという意味から。
過致資給(かちしきゅう)「陳寵伝・注」
中国の唐の時代の罪名の一つで、逃亡した罪人をかくまい、飲食物を与えて送り出すこと。 「過」は移動の途中で立ち寄ること。 「致」は送り出すこと。
干雲蔽日(かんうんへいじつ)「丁鴻伝」
大きな木を言い表す言葉。 「干雲」は雲の中を押し進むこと。 「蔽日」は太陽を覆い隠すこと。 雲の中を進み、太陽を覆い隠すほどに大きいということから。 「雲を干(おか)し日を蔽(おお)う」とも読む。
閑居養志(かんきょようし)「梁竦伝」
世間から離れて、心を育てること。 「閑居」は静かな家。 「養志」は心を鍛錬すること。 「閑居(かんきょ)して志(こころざし)を養う」とも読む。
冠履倒易(かんりとうえき)「楊賜伝」
地位や立場などの順位が逆になっていること。 価値や秩序が乱れていることをいう。 「冠履」はかんむりと靴。 「倒易」は入れ替わること。 かんむりと靴が入れ替わるという意味から。
咳唾成珠(がいだせいしゅ)「趙壱伝」
一つ一つの言葉に敬意を払われるほど、権力や勢力が盛んな様子。 または、一つ一つの言葉がとても美しく、すぐれた詩文の才能を持っている様子。 「咳唾」は咳と唾。または、他人の言葉を敬っていう語。 「成珠」は珠玉になること。 口から出る咳(せき)や唾(つば)が珠玉になるという意味から。 「咳唾(がいだ)珠(たま)を成す」とも読む。
画虎類狗(がこるいく)「馬援伝」
才能のない者が、すぐれているものの真似をしても、見苦しい結果にしかならないということのたとえ。 虎の絵を描いても、犬にしか見えないということから。 後漢の将軍の馬援が、豪傑の杜季良の真似をしていた兄の子を手紙で戒めたという故事から。 「虎(とら)を画(えが)いて狗(いぬ)に類す」とも読む。
含飴弄孫(がんいろうそん)「明徳馬皇后紀」
年老いて仕事を止めた後の気楽な生活のこと。 飴を食べながら孫と遊ぶという意味から。 「飴(あめ)を含んで孫を弄(もてあそ)ぶ」とも読む。
含垢忍辱(がんこうにんじょく)「曹世叔妻伝」
辱めに耐えること。 「含垢」と「忍辱」はどちらも辱めに耐えること。 「垢を含み辱めを忍ぶ」とも読む。
含笑入地(がんしょうにゅうち)「韓韶伝」
悔いを残さず、心穏やかに死ぬこと。 「入地」は遺体を土の中に埋めること。 中国の後漢の韓韶が嬴県を治めていたときに、難民に食べ物を与えたところ、地元の戸主に非難されたが、韓韶は困っている人を助けて罰せられるのなら笑顔で死ねると言ったという故事から。 「笑いを含んで地に入る」とも読む。
危言覈論(きげんかくろん)「郭太伝」
正しいと思う主張について激しく議論を戦わせること。 「危言」は自身の身が危険な状況になることを気にかけずに、自分の考えをはっきりと言うこと。 「覈論」は激しく論じること。
旗鼓相当(きこそうとう)「隗囂伝」
力が互角なこと。 「旗鼓」は軍旗と太鼓のことから、軍隊のたとえ。 敵と味方の力が釣り合っているという意味から。 「旗鼓(きこ)相当(あいあ)たる」とも読む。
挙案斉眉(きょあんせいび)「梁鴻伝」
夫婦の間にも礼儀を保って、お互いに尊敬しあっていること。 「案」は食事などを載せる膳のこと。 中国の後漢の梁鴻の妻である孟光は、梁鴻に食事を出すときは、膳を眉の高さまで捧げて敬っていたという故事から。 「案を挙(あ)ぐること眉(まゆ)に斉(ひと)しくす」とも読む。
凶終隙末(きょうしゅうげきまつ)「王丹伝」
親しかった友どうしが、後に仲たがいして敵対するにいたること。厚い交わりを最後まで保てず、結末は殺し合いや不和に終わるさまをいう。 「凶終」は初めは親密だった仲が凶事のうちに終わること。 「隙末」は末には隙、すなわち嫌隙・不和を生じること。 『後漢書』王丹伝で、かたい友情で結ばれながら後に殺し合った張耳と陳余、また若い日の親友でありながら末には仲たがいした蕭育と朱博の例を引き、交わりを終わりまで全うするのは難しいと説いたという故事から。 「終わりを凶にし末(すえ)に隙(げき)あらしむ」とも読む。
挙足軽重(きょそくけいちょう)「竇融伝」
とある人の言動が全体に大きな影響を与えること。 「挙足」は足をあげて一歩踏み出すこと。 「軽重」は大切なことと、そうではないこと。 その人物が一歩踏み出すだけで、物事の重要性が決まるということから。
稽古之力(けいこのちから)「桓栄伝」
過去の出来事を考える努力のこと。 または、学問や芸術の成果で、財産や地位を得ること。 「稽古」は過去の出来事を考えること。
好逸悪労(こういつあくろう)「方術・郭玉伝」
苦労するのを嫌がり、遊んで暮らすことだけを求めること。 「逸」は楽しむこと。 「悪」は嫌うこと。 「逸(いつ)を好み労を悪(にく)む」とも読む。 中国の後漢の医者の郭玉が言った病気を治すための四つの困難の一つ。
項背相望(こうはいそうぼう)「左雄伝」
人の行き来が非常に多いこと。 「項背」は背中とうなじのこと。 「相望」はお互いに見ること。 前後にいる人の背中やうなじをお互いに見るという意味から。 「項背(こうはい)相(あい)望む」とも読む。
侯覇臥轍(こうはがてつ)「侯覇伝」
善政を行った立派な人物の留任を願って、引き止めること。 「侯覇」は中国の後漢の人の名前。 「臥轍」は車の通り道で、人が伏して通れなくすること。 長官として善政を行った侯覇が、天子の命で都に帰ることになったが、人々が道に伏して通れなくして留任を請うたという故事から。
高鳳漂麦(こうほうひょうばく)「高鳳伝」
心を込めて学問に取り組むこと。 「高鳳」は中国の後漢の人の名前。 高鳳は妻に干した麦の番をするように頼まれたが、読書に夢中になり、雨が降って麦が流されたことに気がつかなかったという故事から。
刻鵠類鶩(こくこくるいぼく)「馬援伝」
手本の真似をしても、似ているだけの別のものになってしまうこと。 または、能力や身分に見合わないことを望んでも得られるものはないということ。 また、優れているものを手本にすれば、それなりのものにはなるということ。 絵を描く才能のない人が大白鳥を描いてもあひるになるという意味から。 「鵠」は大白鳥。 「鶩」はあひる。 「鵠(こく)を刻みて鶩(ぼく)に類(るい)す」とも読む。
虎穴虎子(こけつこし)「班超伝」
危険なことをしなければ、大きな利益や功績を得ることはできないということ。 「虎子」は虎の子ども。 虎の子どもを捕らえるためには、危険な虎の巣穴に入るしかないという意味から。 「虎穴に入らずんば虎子を得ず」を略した言葉。
壺中之天(こちゅうのてん)「方術伝」
酒を飲んで世間のことを忘れること。 または、現世から離れた理想郷のこと。 「天」は世界のこと。 中国の後漢の時代、壺公という薬売りが、店先に置いていた壺の中に入るところを見かけた役人の費長房は、その壺の中に入れてもらうと、多くのご馳走が並ぶ理想郷だったという故事から。
五行並下(ごぎょうへいか)「応奉伝」
読書の速度が非常にはやいこと。 一度に五行の文章を読むということから。 「五行(ごぎょう)並び下る」とも読む。 中国の後漢時代、応奉は一度に五行の文章を読み、読んだ内容を決して忘れず、役人になった時には罪人数千人分の名前と罪名を暗記して裁いたという故事から。
五里霧中(ごりむちゅう)「張楷伝」
物事の状況が全くわからず、判断に困ること。または、そのような状況。 「五里霧」は五里にも渡って周囲が霧で覆われていること、「中」はその霧の中にいること。 霧の中にいて、先もよく見えず方向もよくわからない状態という意味から。 後漢の道士の張楷が五里霧という仙術を使い、周囲五里を霧で覆ったという故事からきた言葉。
五倫十起(ごりんじっき)「第五倫伝」
公平で清く正しい人でも私心はあるということ。 「五倫」は人の名前。 中国の後漢の第五倫は公平で清廉な人物として知られていたが、ある時、あなたにも私心があるのかと聞かれ、兄の子が病気で一晩に十回起きて看病しても、寝床に戻ればよく眠れるが、自分の子どもの時は心配で眠れなかったので、私心がないとは言えないと答えたという故事から。
犀舟勁檝(さいしゅうけいしゅう)「張衡伝」
頑丈な舟と強い櫂(かい)。 「犀舟」は硬くて壊れにくい舟。 「勁」は強いこと。 「檝」は舟をこぐための櫂。
豺狼当路(さいろうとうろ)「張綱伝」
悪意を持つ人が国の重要な地位についていることのたとえ。または、そのような権力を持つものが、権力を使って人の道を外れた行いをすること。 「豺狼」は山犬と狼、「当路」は道をふさぐことで、山犬や狼が道に居座っていて行く手をさえぎられているという意味から。
三槐九棘(さんかいきゅうきょく)「寇栄伝」
政界の最高幹部のこと。 「三槐」は中国の三公の別称。 「九棘」は中国の九卿の別称。 中国の周の時代に、君主が朝廷の庭の三公の位置を示すところに槐の木を植え、九卿の位置を示すところに棘の木を植えていたことから。 「九棘三槐」ともいう。
財多命殆(ざいためいたい)「馮衍伝」
多くの財産を持っていると、盗賊などに命を狙われる可能性が高くなるので危険という意味。 財産は多すぎるよりもほどほどのほうがよいということ。 「財(ざい)多くして命(いのち)殆(あや)うし」とも読む。
刺字漫滅(しじまんめつ)
「刺字」は名刺の文字のことで、それがすれて読めなくなるという意味から、長い間、人を訪問していないこと。
志大才疎(しだいさいそ)「孔融伝」
大きな目標を掲げているが、それに見合う才能や能力がないこと。
死中求活(しちゅうきゅうかつ)「公孫述伝」
死ぬ覚悟を持って、困難に立ち向かうこと。 または、絶体絶命の窮地の中で生き延びるための活路を求めること。 「死中」は死を待つしかない状況、「求活」は生き残るための方法を求めること。
疾風勁草(しっぷうけいそう)「王覇伝」
その人の真価は苦境に立って初めてわかることのたとえ。 「疾風」は激しく勢いの強い風、「勁草」は強い草のことで、激しい風が吹くことで、初めて強い草がどれかわかることから。
疾言遽色(しつげんきょしょく)「劉寛伝」
早口で喋ったり、慌てている顔色をしたりして落ち着きがないこと。 「疾言」は早口で喋ること。 「遽色」は慌てふためいた顔色をしていること。
舐犢之愛(しとくのあい)「楊彪伝」
親が自身の子を溺愛すること。 「舐」は舐める、「犢」は牛の子のことで、牛が子牛を舐める様子にたとえた言葉。
雌伏雄飛(しふくゆうひ)「趙典伝」
活躍する機会を待ちながら人に付き従い、機会が到来すると大いに活躍すること。 「雌伏」は雄鳥に雌鳥が従うという意味から、将来の活躍を待ちながら人に従うということ。 「雄飛」は雄鳥が高く羽ばたくように、雄雄しく飛び立つこと。
車如流水(しゃじょりゅうすい)「明徳馬皇后紀」
交通量が多いことのたとえ。 川を流れる水のように、車が絶え間なく行き交うことから。 「車(くるま)、流水(りゅうすい)の如(ごと)し」とも読む。
車水馬竜(しゃすいばりょう)「明徳馬皇后紀」
車や馬などの乗り物の往来がとてもにぎやかな様子。 車は流れる水のように、馬は竜のように連なっているという意味。
夙夜夢寐(しゅくやむび)「郎顗伝」
一日中いつも思うこと。 朝早くから夜寝て夢の中でも思うという意味から。 「夢寐」は夢を見ている間のこと。
雌雄未決(しゆうみけつ)「竇融伝」
状況が落ち着いていないこと。 「雌雄」は、勝敗や優劣のこと。 勝敗や優劣が決まらないことから。 「雌雄(しゆう)未(いま)だ決(けっ)せず」とも読む。
杵臼之交(しょきゅうのまじわり)「呉祐伝」
身分にこだわらずに人付き合いをすること。 「杵臼」はきねとうすのこと。 中国の後漢の時代の公沙穆は、学費を稼ぐために呉祐の家で雇われて、きねとうすを使って米をついていた。 あるとき呉祐が公沙穆に話しかけてみると、高い学識があることに驚き、その後は主従を越えた付き合いを結んだという故事から。
身軽言微(しんけいげんび)「孟嘗伝」
地位が低いと発言も軽く扱われるということ。 「身軽」は身分が低いこと。 「言微」は言葉が軽く扱われること。 「身(み)軽くして言(げん)微(いや)し」とも読む。
深識遠慮(しんしきえんりょ)「杜林伝」
物事を深く見きわめ、先々のことまで考えをめぐらすこと。 「深識」は見識が深いこと。 「遠慮」は遠い先まで思いをめぐらすこと。
人物月旦(じんぶつげったん)「許劭伝」
人の価値などを評価して批評すること。 「月旦」は毎月のはじめの日のこと。 後漢の許劭は、毎月のはじめの日に人を批評したものを発表していたという故事から。
水清無魚(すいせいむぎょ)「班超伝」
心が清く高潔であっても、程度が過ぎると人に親しまれないということ。 「水清ければ魚無し」とも読み、澄み切った水には魚が住めないという意味から。
垂頭塞耳(すいとうそくじ)「殤帝紀」
わざと何も見ず、何も聞かないこと。 「垂頭」は頭を垂れること、下を向いて地面をみること。 「塞耳」は耳を塞ぐこと。 「頭(とう)を垂れ耳を塞(ふさ)ぐ」とも読む。
錐刀之利(すいとうのり)「輿服志」
非常にわずかな利益や成果。 錐(きり)や小刀の先端のように小さく微細な利益との意から。
垂名竹帛(すいめいちくはく)
歴史に名前が残るような功績や手柄のこと。 「竹帛」は竹の札と綿布のことで、紙のない時代には竹帛に文字を書いていたことから、歴史書や書物のこと。 「名(な)を竹帛(ちくはく)に垂(た)る」とも読む。
星火燎原(せいかりょうげん)
最初は小さい力のものが、成長して強大になり手に負えなくなること。 「星火」は星の光のように小さなもの。 「燎原」は広野を焼き払うこと。 反乱や一揆が次第に大きくなっていき、防げなくなることをたとえたもの。
誠歓誠喜(せいかんせいき)「劉盆子伝」
この上なく喜ばしいという意味。 臣下が天子に書を奉る時に用いる言葉で、「歓喜」に「誠」を重ねて至上の喜びを表現した言葉。
先見之明(せんけんのめい)「楊彪伝」
これから先にどうなるかを見抜くことができる能力。 「先見」は先のことを見抜くこと。 「明」は物事の本質を見抜く能力のこと。
洗垢索瘢(せんこうさくはん)「趙壱伝」
他人の失敗や欠点をしつこく見つけ出そうとすること。 「索」は探すこと。 「瘢」は傷跡。 人の垢を洗い流すようなことをしても、傷跡を探そうとするという意味から。 「垢(あか)を洗いて瘢(きず)を索(もと)む」とも読む。
千里結言(せんりのけつげん)「范式伝」
遠く離れた友人と結んだ約束のこと。 「千里」は距離が非常に離れていることのたとえ。 「結言」は言葉で約束をすること。
噬指棄薪(ぜいしきしん)「周磐伝」
母と子の気持ちがお互いに通じることのたとえ。 「噬指」は指を噛む。 「棄薪」は薪(たきぎ)を捨てるという意味。 後漢の蔡順が薪を採りに行っている間に来客があって、母が困って自分の指を噛むと、その気持ちが通じ、蔡順が薪を捨てて帰ってきたという故事から。
糟糠之妻(そうこうのつま)「宋弘伝」
貧しい生活をして、共に苦労をしてきた妻のこと。 「糟糠」は酒かすと米ぬかのことから貧しい食事のたとえ。 光武帝が、姉の湖陽公主と家臣の宋弘を結婚させようとしたが、既婚者である宋弘は「貧しい時期を共に苦労してきた妻のことを大切にしたい」と言って断ったという故事から。
甑塵釜魚(そうじんふぎょ)「独行伝」
とても貧しいことのたとえ。 「甑」は蒸すための調理器具で、こしきやせいろのこと。 「魚」は蚊の幼虫のボウフラのこと。 こしきには塵がつもり、鍋にはボウフラがわいて炊事をすることができないほど貧しいことから。 「釜魚甑塵」ともいう。
糟粕之妻(そうはくのつま)「宋弘伝」
貧しい頃から生活を共にして苦労してきた妻のこと。 「糟粕」は酒かすのことから、質素な食事という意味。 光武帝が姉の湖陽公主と家臣の宋弘を結婚させようとした時に、宋弘が「糟糠の妻は堂より下さず」と言って断った故事から。
大器小用(たいきしょうよう)「辺譲伝」
優れた才能がある人にくだらない雑務をさせること。 または、そのような人をうまく使いこなせていないこと。 「大器」は優れた才能を持つ人を大きな器にたとえたもの。 「小用」は小さなことに用いること。 大きな器を小さなことに使用するという意味で、使い方が適切ではないことのたとえ。
大樹将軍(たいじゅしょうぐん)「馮異伝」
謙虚で増長することが無い指導者。または、素晴らしい人格の将軍の異称。 「大樹」は中国後漢の将軍の馮異の異称。 馮異は他の将軍たちが手柄話をすると、大きな樹の下に移動して自身の功績を語ろうとしなかったという故事から。
戴封積薪(たいほうせきしん)「戴封伝」
中国の後漢の戴封が、雨が降るように祈りをささげたが雨は降らず、積み重ねた薪の上に座り自分を燃やして生贄にしようとしたところ大雨が降り始めたという故事。 「戴封」は人の名前。 「積薪」は薪を積み重ねるという意味。
短兵急接(たんぺいきゅうせつ)「光武紀」
敵と近づいて、刀剣で直接に戦うこと。また、そのような切迫した事態。 または、出し抜けに物事を行うこと。 「短兵」は弓矢に対して、接近して用いる小刀。 「急接」はいきなり近づくこと。 いきなり近づいて、いきなり攻撃するという意味から、他の人よりも先に物事を行うことをいう。 「短兵急」という形で略して使うことが多い言葉。
大腹便便(だいふくべんべん)「辺韶伝」
体型が太っていて、腹が出ていること。 「便便」は太っている体型のこと。
竹帛之功(ちくはくのこう)「鄧禹伝」
歴史に名前が残るような功績や手柄のこと。 「竹帛」は竹の札と綿布のことで、紙のない時代には竹帛に文字を書いていたことから、歴史書や書物という意味。
鉄中錚錚(てっちゅうのそうそう)「劉盆子伝」
普通の人の中で少しだけすぐれている人のたとえ。 「錚錚」は金属の音の形容で、金や銀に比べると劣るが、鉄の中だと少し良い音がするという意味から。
跌蕩放言(てっとうほうげん)「孔融伝」
周りに気を使わずに好き勝手に喋り散らすこと。 「跌蕩」は小さなことにこだわらずに、すき放題すること。
天下三分(てんかさんぶん)「献帝紀」
国が三つに分かれて争い合うこと。 「天下」は国全体のこと。 中国の後漢が滅亡した後に、魏、呉、蜀の三つの勢力に分かれて争い合ったことをいう。
禰衡一覧(でいこうのいちらん)「禰衡伝」
記憶力が極めてよいことのたとえ。 「禰衡」は人の名前。 中国の後漢の禰衡は、蔡邕の碑文を一度しか見ていないにも関わらず、欠けてわからなかった二文字以外をすべて書き表したという故事から。
泥首銜玉(でいしゅかんぎょく)「公孫述伝」
頭を地面につけ、玉を口にくわえること。 謝罪や降伏を意味する儀式の一つ。
蕩佚簡易(とういつかんい)「班超伝」
のんびりとしていて自由なこと。また、細かいことにこだわらず寛大なこと。 「蕩佚」はのんびりと自由で寛大なこと。 「簡易」は細かいことにこだわらず、おだやかでさっぱりしていること。
党錮之禍(とうこのわざわい)「霊帝紀」
党派や政党を結成したことが原因となって発生する災いのこと。 「党錮」は党人を禁固刑にすること。 腐敗した政治を行う宦官に党派を組んで批判したが、宦官はその者たちに党人という名前をつけ、弾圧して終身禁固刑に処したという故事から。
党同伐異(とうどうばつい)「党錮伝・序」
事の善し悪しに関わらず、とにかく仲間の味方をして対立する相手を攻撃すること。 「党」は仲間のこと。 「異」は対立する相手のこと。 「同じきに党(むら)がり異なるを伐(う)つ」とも読む。 「伐異党同」ともいう。
得隴望蜀(とくろうぼうしょく)「岑彭伝」
人間の欲望は尽きることがないということ。 「隴」と「蜀」はどちらも中国の地名。 後漢の光武帝が望みを叶えて、隴を手に入れたが、次は蜀が欲しいと望んだという故事から。 「隴(ろう)を得て蜀(しょく)を望む」とも読む。
斗酒隻鶏(としゅせきけい)「橋玄伝」
亡くなった友人のことを悲しんで嘆き、生前のことや思い出を述べること。 「斗酒」は一斗の量の酒。 「隻鶏」は一羽の鶏。 古代中国での死者への供物をいう。 中国の魏の曹操が友人の橋玄の墓を祭ったときに作った文から。
同室操戈(どうしつそうか)「鄭玄伝」
兄弟、または、身内で争うことのたとえ。 「同室」は同じ部屋で暮らす人という意味から、家族や身内のこと。 「操戈」は武器のほこを持つという意味から、争い合うことのたとえ。 「同室(どうしつ)戈(ほこ)を操(と)る」とも読む。
日昃之労(にっしょくのろう)「陳元伝」
午後まで休むことなく、昼食すら食べずに働くこと。 また、精一杯努力して働くことのたとえ。 「日昃」は現在の午後二時頃のこと。
白首一節(はくしゅいっせつ)「呉良伝」
年老いても節操を守り通すこと。または、節操を堅く守ること。 「白首」は白髪頭のことから、老人のたとえ。 「一節」は最初から貫き通している節操ということ。 「白首(はくしゅ)まで一節なり」とも読む。
白水真人(はくすいしんじん)「光武紀」
後漢が急激に繁栄することを予言した言葉。 または、中国の貨幣の異称。 中国の前漢を倒して新を興した王莽は、貨幣に「金刀」と印字されているのを見て、「金刀」は組み合わせると「劉」となり、劉氏の復興の兆しになるとして「貨泉」と改めた。 しかし、「貨泉」も分解すると「貨」は「眞(真)人」、「泉」は「白水」になり、白水郷から劉秀が現われて後漢を興す兆しになったという故事から。
白波之賊(はくはのぞく)「霊帝紀」
集団で略奪を行う、盗賊のこと。 「白波」は盗賊のこと。 中国の後漢の末期に、黄巾賊の残党が白波谷にこもって盗賊をしていたために白波賊と呼ばれたという故事から。
攀轅臥轍(はんえんがてつ)「侯覇伝」「第五倫伝」「孟嘗伝」
立派な人が官職を辞めないことを望んで引き留めること。 「攀轅」は車のまえに突き出た二本の棒、ながえにすがりつくこと。 「臥轍」は車の進路に伏して通れないようにすること。 中国の後漢の時代、秦彭や侯覇が転任するときに、住民が引きとめたという故事から。 「轅(ながえ)に攀(よ)じて轍(わだち)に臥(ふ)す」とも読む。 「攀轅扣馬」ともいう。
半面之識(はんめんのしき)「応奉伝」
少し顔を見たことがある程度の知り合いのこと。 または、少し会っただけの人の顔を覚えていること。 「半面」は顔の半分。顔の半分程度しかしらないの意。 中国の後漢の応奉は、二十歳のときに戸から顔を半分出した車大工を見かけただけなのに、数十年後に道で見かけた時に、その顔を覚えていたので声を掛けたという故事から。 「半面識」と略して使うこともある言葉。
麦穂両岐(ばくすいりょうき)「張堪伝」
豊作の前兆。 または、善い政治が行われていることのたとえ。 「両岐」は二股に分かれること。 麦の穂が二股に分かれて、どちらにも実が実るということから。
槃根錯節(ばんこんさくせつ)
事情が複雑で解決することが難しいこと。 「槃根」は曲がりくねった木の根のこと。 「錯節」は入り組んだ木の節のこと。 「盤根錯節」とも書く。
披荊斬棘(ひけいざんきょく)「馮異伝」
困難を克服しながら前進すること。 「披」と「斬」はどちらも切り開く、「荊」と「棘」はどちらもいばらのことで、いばらの道を切り開いて先にすすむという意味から。
百世不磨(ひゃくせいふま)「南匈奴伝」
いつまでも消えることなく存在し続けること。 「百世」は世代が百代もの長い期間という意味から、非常に長い年月、後世まで長く続くという意味。 「不磨」は擦り減ってなくなることがないこと。
百年之柄(ひゃくねんのへい)「班彪伝」
将来のことを考えた政治を行い、権力を長く保とうとすること。 「百年」は長い期間のたとえ。 「柄」は権力のこと。
百古不磨(ひゃっこふま)「南匈奴伝」
いつまでも消えることなく存在し続けること。 「百古」は非常に長い年月、後世まで長く続くという意味。 「不磨」は擦り減ってなくなることがないこと。
飛鷹走狗(ひようそうく)「袁術伝」
野生の鳥や獣をとること。 「狗」は狩りに使うための犬、猟犬。 狩猟のために鷹を飛ばして、猟犬を放つという意味から。
牝鶏牡鳴(ひんけいぼめい)「楊震伝」
女性が強い権力を持って、勢力を振るうこと。 「牝鶏」は雌鶏。 「牡鳴」は雄鶏の鳴き声。 雌鶏が雄鶏の鳴き声の真似をするという意味から。 日の出の時間に鳴くのは本来は雄鶏であり、雌鶏が鳴くことは秩序が乱れた証とされ、王后や王妃が権力を握り、国家が滅びることの前触れとされていた。
貧賤之交(ひんせんのまじわり)「宋弘伝」
貧しく苦労している時から交友のある友人のこと。または、そのような友人は大切にすべきであるということ。 出世すると以前の友人を捨てて、高い地位を持っている人と付き合おうとするが、以前の友人を捨ててはならないということ。
美須豪眉(びしゅごうび)「趙壱伝」
立派でたくましい男性の容姿を言い表す言葉。 「美須」は美しいひげ。 「豪眉」は太くて強そうな眉。
馮異大樹(ふういたいじゅ)「馮異伝」
謙虚で慕われるような人格のたとえ。 「馮異」は後漢の将軍の名前で、馮異は他の将軍たちが手柄の話を始めると、大きな樹の下に移動して自身の功績を語ろうとしなかったという故事から。
覆水難収(ふくすいなんしゅう)「何進伝」
一度情勢が変わってしまうと、取り返すのは難しいということのたとえ。または、一度失敗すると取り返すことは難しいということのたとえ。または、一度駄目になった夫婦の関係を戻すことは難しいということのたとえ。 一度こぼしてしまった水は、もう一度集めることはできないという意味から。 「覆水(ふくすい)収(おさ)め難(がた)し」とも読む。
釜底游魚(ふていのゆうぎょ)「張綱伝」
死が目の前に近づいていることのたとえ。 火に掛けられ、煮られる寸前の釜の中を泳いでいる魚ということから。 「釜底遊魚」とも書く。
辺幅修飾(へんぷくしゅうしょく)「馬援伝」
外見や世間体をよく見えるように飾って見栄を張ること。 「辺幅」は布の縁のこと。転じて外見のこと。 「修飾」は飾り立てること。 布の縁を縫って、ほころびを取り繕うことから。 「辺幅(へんぷく)を修飾す」とも読む。 「修飾辺幅」ともいう。
方領矩歩(ほうりょうくほ)「儒林伝」
儒学者の服装と態度のこと。 「方領」は四角い服のえりのことで、儒学者の正装。 「矩歩」は決まりに則った正しい歩き方。
蒲鞭之政(ほべんのせい)「劉寛伝」
思いやりのある政治を行うこと。 「蒲鞭」は植物の蒲の穂の鞭。 刑罰に柔らかく痛みを与えない蒲の穂の鞭を使い、辱めを与えるだけの政治ということから。
望蜀之嘆(ぼうしょくのたん)「岑彭伝」
人間の欲望は尽きることがないということ。 「蜀」は中国の地名。 後漢の光武帝が望みを叶えて、隴を手に入れたが、次は蜀が欲しいと望んだという故事から。
尨眉皓髪(ぼうびこうはつ)「劉寵伝」
老人を言い表す言葉。 「尨」は白髪混じりという意味。 「皓」は色が白いという意味。 髪や眉に白い毛が混じるという意味から。
毛挙細故(もうきょさいこ)「刑法志」
非常に小さな事柄をわざわざ取り上げること。 「毛挙」は毛の先のように小さな事柄をわざわざ論じ合うこと。 「細故」は小さく些細な事柄。 「細故(さいこ)を毛挙(もうきょ)す」とも読む。
孟光荊釵(もうこうけいさい)「逸民・梁鴻伝」
中国の後漢の梁鴻が妻を選んだという故事のこと。 「孟光」は人の名前で、梁鴻の妻。 「荊釵」はいばらでできたかんざしのことで、質素な装飾品のたとえ。 梁鴻は妻を選ぶ時に美しい女性ではなく、容姿の醜い孟光を選んだ。 孟光は嫁ぐ時に美しく着飾ったが梁鴻は相手にせず、孟光は理由を尋ねると、共に隠遁する人を探していたと答えた。 思い違いをしていた孟光はそのことを詫びて、それまでの質素な服装にいばらのかんざしをつけたところ、梁鴻は喜んで孟光を迎え入れたという故事から。
有口無行(ゆうこうむこう)「史弼伝」
口先だけで行動が伴わないこと。 「有口」は口先だけがうまいこと。 「無行」は行動しないこと。
羊裘垂釣(ようきゅうすいちょう)「厳光伝」
世間から離れてのんびりと暮らす隠者のたとえ。 「羊裘」は羊のかわごろも、「釣」は釣り針のこと。 羊のかわごろもを着て釣り糸を垂れることから。
庸中佼佼(ようちゅうのこうこう)「劉盆子伝」
普通の人たちの中で少しすぐれている才能をもっている人のこと。 「庸」は平凡、「佼佼」はすぐれているという意味。
容貌魁偉(ようぼうかいい)「郭太伝」
顔つきや体格が大きくて逞しく、堂々としている様子。 「魁偉」は立派で大きい体格のこと。
薏苡明珠(よくいめいしゅ)「馬援伝」
身に覚えのないことで疑いをかけられること。 「薏苡」は、ハトムギのこと。数珠玉に似た白い種子の穀物。薬用・食用とされる。 「明珠」は、宝石のこと。 中国後漢の時代、馬援が交趾(今のベトナム)から、薬にするための薏苡の実を車にのせて持ち帰ったところ、薏苡を宝石だと思い込んで天子に讒言(ざんげん)する者もあらわれ、あらぬ嫌疑をかけられたという故事から。
雷陳膠漆(らいちんこうしつ)「雷義伝」
とても深く固い友情のこと。 「雷陳」は中国後漢の雷義と陳重という人物。 「膠漆」は接着剤の膠と漆のこと。 膠や漆がかたく張り付くよりも二人の関係は固いと噂されたという故事から。
乱世英雄(らんせいのえいゆう)「許劭伝」
乱れた世の中で力を示し、大きな事業を成し遂げる人のこと。 「乱世」は戦乱の絶えない、乱れた世。 後漢の末、人を見る目で知られた許劭は、若いころの曹操を評して、太平の世なら悪知恵のはたらく賊だが、乱れた世なら英雄だと言ったという故事から。 同じ評は『三国志』の注では「治世の能臣、乱世の姦雄」と伝えられており、そちらは乱世姦雄という語になった。
劉寛温恕(りゅうかんおんじょ)「劉寛伝」
些細なことを気にせず、優しく穏やかな性格のこと。 「劉寛」は優しく穏やかな性格で有名な後漢の大官の名前。 「温」は温厚なこと、「恕」は許すこと。 劉寛の夫人が温厚な劉寛を一度怒らせてみようと、召し使いに命じて熱い吸い物を服にかけさせると、怒るよりも召し使いがやけどしていないか心配したという故事から。
竜蛇之歳(りゅうだのとし)「鄭玄伝」
十二支の辰年と巳年のこと。 または、辰年と巳年は賢者が死ぬ年とされていることから、災いの多い年、凶年のこと。 中国の後漢の学者の鄭玄は、病に伏しているときに夢の中で孔子に会い、「今年は辰年で来年は巳年だ」と言われ、その年のうちに亡くなったという故事から。
梁上君子(りょうじょうのくんし)「陳寔伝」
人の物を盗む、泥棒や盗賊のこと。 または、ねずみの異名。 「君子」は立派な人物のことで、ここでは下らない人をからかっていう言葉。 中国の後漢の陳寔は、とある夜に家の梁の上に泥棒が隠れているのに気づき、子どもを起こして、「人は努力し続けながら生きていかなければならない。悪人も生まれつき悪人ではなく、悪い習慣が身について悪事を働くようになった。梁の上にいる君子もそうだ。」と言い聞かせると、泥棒が梁の上から降りてきて謝罪し、改心したという故事から。
遼東之豕(りょうとうのいのこ)「朱浮伝」
世間を知らず、経験や知識が少ないために、取るに足りないことで得意になること。 普通の人からすれば日常的なものを、特別なものとして誇らしげに思うことをいう。 「遼東」は中国にある遼河という河の東の地方のこと。 「豕」は豚のこと。 遼東の農家に頭の白い豚が生まれ、農民は特別なものだと思い天子に献上しようとしたが、道中で見かけた豚の群れは皆頭が白く、他の地方ではごく普通のことと知り、自身の無知を恥じて帰ったという故事から。
緑林好漢(りょくりんのこうかん)「劉玄伝」
盗賊のこと。 「緑林」は中国の山の名前。 「好漢」は立派な男。または、勇敢な男のこと。 中国の前漢の時代に、生活に困った農民が緑林山を拠点にして武装した盗賊になり、それを討伐にきた軍隊に抵抗したという故事から。
緑林白波(りょくりんはくは)「劉玄伝」
泥棒や盗賊の異称。 「緑林」は中国の山の名前で、生活に困窮した農民が緑林山で盗賊になったということから。 「白波」は中国の谷の名前で、後漢の時代に黄巾の賊が拠点としていたということから。
