『文選』を出典とする四字熟語 — 110 件
『文選』(もんぜん)を出典とする四字熟語を一覧で紹介します。各四字熟語の読み方・意味もあわせて確認できます。全110件を五十音順に掲載しています。
四字熟語一覧(五十音順)
哀感頑艶(あいかんがんえん)繁欽「與魏文帝箋」
歌声が物悲しく、どんな人もその歌声に心を奪われるということ。 または、すぐれた文芸作品の美しさや悲しさが人を感動させるということ。 「頑」は愚かな人。 「艶」は頭が切れる人。 「頑艶(がんえん)を哀感(あいかん)せしむ」「哀しみ頑艶(がんえん)を感ぜしむ」とも読む。
悪木盗泉(あくぼくとうせん)陸機「猛虎行」
苦しいときでも、人としての道を外れたことはしないということ。また、悪事に近づかないこと。 「悪木」はとげや悪臭のある木、「盗泉」は泉の名。 暑くても悪木の陰では休まず、のどが渇いても盗泉の水は飲まない、という詩の一節から。 盗泉は、孔子がその名を嫌い、のどが渇いていても水を飲まなかったと伝えられる泉。
異域之鬼(いいきのき)李陵「答蘇武書」
祖国に帰れず異国の地で死ぬこと。またはその人の魂。 「異域」は自分の国でない国、外国。 「鬼」は死んだ人の魂のこと。 匈奴に降伏して漢に帰れなかった李陵が、生きては別世界の人、死んでは異域の鬼になると書き送った言葉から。
一日九回(いちじつきゅうかい)司馬遷「報任少卿書」
ひどく心配して、悩み苦しむこと。 「九」は何度もということ。 一日に何度も腸がねじれるほどに悩み苦しむということから。 「一日九廻」とも書く。
一縷千鈞(いちるせんきん)枚乗「上書諫呉王」
極めて危険なこと。 「縷」は糸のこと。 「鈞」は重さの単位。 一本の糸で千鈞もの重い物を吊るすということから。
一労永逸(いちろうえいいつ)班固「封燕然山銘」
一度苦労すれば、その後は長く利益が得られ、安定した暮らしが送れること。 「一労」は一度の苦労。または、少しの苦労。 「永」は長くの意味。 「逸」は安楽、利益のこと。 「一(ひと)たび労して永(なが)く逸(やす)んず」とも読む。
引決自裁(いんけつじさい)司馬遷「報任少卿書」
自分で責任を取ること。 または、責任を取って自殺すること。 「引決」は自身で責任を取ること。 「自裁」は自ら命を絶つこと。または、辞職などして責任を取ること。 「引訣自裁」とも書く。
紆余委蛇(うよいだ)司馬相如「上林賦」
山や林などがうねうねと曲がり、どこまでも連なっている様子。 「紆余」は曲がりくねっていて長く続いている様子。 「委蛇」は曲がりくねっている様子。
雲雨巫山(うんうふざん)宋玉「高唐賦」
男女の交わり、情交のたとえ。 「雲雨」は雲と雨のこと。 「巫山」は中国の四川省と湖北省の間にある、女神が住んでいたとされる山のこと。 中国の戦国時代の楚の懐王が昼寝をした際、夢の中で巫山の女神と情交を結んだ。別れ際に女神が「朝には雲となって、夕方には雨となってここに参ります」と言ったという故事から。 「巫山雲雨」ともいう。
雲集霧散(うんしゅうむさん)班固「西都賦」
たくさんのものが集まったり散ったりすること。 雲のように集まり、霧のように散るという意味から。 「雲のごとく集まり霧のごとく散(さん)ず」とも読む。
盈盈一水(えいえいいっすい)「古詩十九首」
愛する人に言葉をかけることが出来ない苦しい思いのこと。 「盈盈」は水が満ちている様子。 「一水」は一筋の川のこと。 牽牛と織女の七夕伝説を題材に、天の川で隔てられているために、見つめるだけで会話することが出来ない切なさをうたった詩から。 「盈盈(えいえい)たる一水(いっすい)」とも読む。 「一水盈盈」ともいう。
影駭響震(えいがいきょうしん)班固「答賓戯」
ちょっとしたことで驚き、ひどく恐れて震え上がること。 「影駭」は影を見るだけで驚くこと。 「響震」は物音が聞こえただけで震え上がること。
越鳥南枝(えっちょうなんし)「古詩十九首」
故郷を懐かしみ忘れがたく思う気持ちのたとえ。 「越鳥」は中国の南方にある越の国から渡ってきた鳥。 「南枝」は南に向かって伸びている木の枝。 南方にある越の国から渡ってきた鳥は、南に向かって伸びている木の枝に巣を作るという意味から。 「越鳥は南枝に巣くう」を略した言葉。
延年益寿(えんねんえきじゅ)宋玉「高唐賦」
寿命を長くすること。長く生きること。 「年(とし)を延ばし寿(じゅ)を益(ま)す」とも読む。
甕牖縄枢(おうゆうじょうすう)賈誼「過秦論」
貧しく質の悪い家のたとえ。 甕(かめ)の口のような小さな窓と、扉の軸となる枢(とぼそ)の代わりとして縄を用いている家ということから。 「甕」はかめ、「牖」は窓のこと。また、「甕牖」は割れたかめの口の部分を壁にはめ込んで窓にしたものをいうこともある。 「枢」は扉の軸の部分のこと。
瑰意琦行(かいいきこう)宋玉「対楚王問」
考えや行いが普通の人と比べて非常にすぐれていること。 「瑰意」は非常にすぐれている心。 「琦行」は普通とは異なるすぐれた行い。
介山之志(かいざんのこころざし)任昉「宣徳皇后令」
汚れがなく、立派な志。 中国の春秋時代の晋の国の介之推(かいしすい)は、力を尽くして文公(ぶんこう)を君主に即位させたが、その功績を誇らず、報酬も受け取らずに緜(めん)山に隠居したという故事から。
海内冠冕(かいだいのかんべん)任昉「王文憲集序」
世界で一番ということ。 「海内」は四方の海の内側という意味から、国家や世界のこと。 「冠冕」は高い地位の人がつける冠ということから、一位や一番という意味。
海内無双(かいだいむそう)東方朔「答客難」
この世で、比べる人がいないくらい優れている人のこと。 「海内」は世界や国内のこと。 「無双」は二つとない、または比べることができないという意味。
画無失理(かくむしつり)曹植「王仲宣誄」
計画に無理がなく、しっかりと筋道がたっていること。 「画」は計画のこと。 「理」は道理に適っている筋道。 「画(かく)に失理(しつり)無し」とも読む。 この言葉の前に「算(さん)に遺策(いさく)無し」という言葉がある。
河梁之吟(かりょうのぎん)李陵「与蘇武詩」
親しい友人を見送るときの離れたくないという気持ち。 「河梁」は川を渡るための橋。 中国の漢の時代、異民族の匈奴に捕まった李陵が、一緒に捕まっていた蘇武が国に戻る時に送った詩から。
河梁之別(かりょうのわかれ)李陵「与蘇武詩」
親しい友人を見送るときの離れたくないという気持ち。 「河梁」は川を渡るための橋。 中国の漢の時代、異民族の匈奴に捕まった李陵が、一緒に捕まっていた蘇武が国に戻る時に送った詩から。
管窺蠡測(かんきれいそく)東方朔「答客難」
見識が非常に狭いこと。 または、狭い見識で物事の全体を判断すること。 「管窺」は管を通して空を見ること。 「蠡測」はほら貝の貝殻で海の水の量を量ること。 「管蠡」と略して使うこともある言葉。 「管(かん)もて窺(うかが)い蠡(れい)もて測る」とも読む。
間不容髪(かんふようはつ)枚乗「上書諫呉王」
何か事が起きたときに、それに合わせた行動をすぐに行うこと。 髪の毛一本を入れる隙間もないという意味から。 「間、髪を容れず」という形で使うことが多い言葉。
歓楽哀情(かんらくあいじょう)漢武帝「秋風辞」
楽しい気持ちで満たされると、その後のことを考えてしまい、哀しい気持ちがわき上がってくるということ。 「歓楽」は遊びや飲酒、女遊びの楽しみ。 「哀情」は哀しい気持ち。 「歓楽極まりて哀情多し」を略した言葉。
鬼瞰之禍(きかんのわざわい)揚雄「解嘲文」
良い出来事には邪魔が入りやすいことのたとえ。 または、富み栄えているときに付け上がっていると、周りから妬まれて災いを受けることのたとえ。 「瞰」は隙を狙う、もしくは窺うという意味。 富裕な家に災いを下そうとして、邪鬼が隙を狙っているという意味から。
危急存亡(ききゅうそんぼう)諸葛亮「前出師表」
危険が迫っていて、生死の瀬戸際で危機的な状況のこと。 「危急」は危険が迫る、「存亡」は生きるか死ぬかという意味。
箕山之志(きざんのこころざし)曹丕「与呉質書」
世間での名声と利益を捨て、世間との接触を避けて信念を守ろうとすること。 伝説上の人物の許由と巣父が、世間での名声を嫌い、信念を守るために箕山という名前の山でひっそりと生活したという故事から。
貴耳賤目(きじせんもく)張衡「東京賦」
他人から聞いたことを信じ込み、自分の目で見たことを信じないこと。または、現在を軽視して、過去の出来事を重視すること。 「耳を貴(とうと)び目を賤(いや)しむ」とも読む。
気息奄奄(きそくえんえん)李密「陳情表」
どうにか呼吸ができているような、今にも死んでしまいそうな様子のこと。 または、国や組織などが今にも滅びてしまいそうな苦しい状況のこと。 「気息」は呼吸のこと。 「奄奄」は呼吸が止まってしまいそうな弱々しい状態のこと。 「気息奄々」とも書く。
屹然特立(きつぜんとくりつ)王延寿「魯霊光殿賦」
山などが一際高くそびえ立っていること。 「屹然」は山などが高く立っている様子。 「特立」は周囲より際立って高く立っていること。
丘山之功(きゅうざんのこう)陳琳「檄呉将校部曲文」
無数の努力を積み重ねて成し遂げた、非常に偉大な功績。 丘や山のように大きな功績という意味から。 小さな石や土を数多く積み重ねて出来た丘や山ということから、数多くの努力を積み重ねることをいう。
金科玉条(きんかぎょくじょう)揚雄「劇秦美新」
黄金や宝石に例えられるほど立派な法律や規則。転じて、自分を支える絶対的な教訓や信条、または人が最も重視すべき法律や規則のこと。 「金」と「玉」は黄金と宝石のこと。転じて、貴重なものや大切なもののたとえ。 「科」と「条」は法律や規則などの条文。 融通がきかないことを批判する場合に用いることもある。
牛驥同皁(ぎゅうきどうそう)鄒陽「獄中にて書を上り自ら明らかにす」
すぐれている人と愚かな人が同じ待遇を受けること。 「驥」は一日で千里の距離を走ることができるすぐれた馬。 「皁」は牛や馬の餌を入れる飼い葉桶のこと。 牛とすぐれた馬が同じ飼い葉桶で餌を食べるということから。 「牛驥皁を同じうする」とも訓読する。
仰首伸眉(ぎょうしゅしんび)司馬遷「報任少卿書」
大きな目標を持って、平気な顔をして何事にも動じないこと。 「仰首」は頭を上げること。 「伸眉」は寄せた眉を伸ばすこと。 頭を上げて胸を張り、眉をつり上げる様子から。 「首(こうべ)を仰ぎ眉(まゆ)を伸ぶ」とも読む。
玉石同砕(ぎょくせきどうさい)袁宏「三国名臣頌序賛」
すぐれているものや劣っているもの、賢者や愚者などがともに滅びてなくなること。 宝石も石も一緒に砕けてなくなるという意味から。
魚目混珠(ぎょもくこんしゅ)「大司馬記室牋」
本物と偽物が入り混じっているために、目視で区別できないこと。 「魚目」は魚の目玉。 魚の目玉は宝石に見えるが価値はないということから、似ているが全く違うもののたとえ。 「魚目(ぎょもく)珠(たま)に混(こん)ず」とも読む。
魚爛土崩(ぎょらんどほう)陳琳「為曹洪与魏文帝書」
国家や物事が内側から壊れてなくなること。 「魚爛」は魚が内臓から腐ること。 「土崩」は積み上げた土が崩れること。 「土崩魚爛」ともいう。
魚竜爵馬(ぎょりょうしゃくば)鮑照「蕪城賦」
古代の中国で行われていた演芸のこと。 諸説あるが、大魚が竜になってうねり歩いたり、大きな雀や馬の形をしたものが飛び去ったりする、非常に珍しく変わっているものとされている。
形影相弔(けいえいそうちょう)曹植「上責躬応詔詩表」李密「陳情表」
誰かが来ることもなく、一人で寂しい様子。 「形影」は体とその影。 「弔」はあわれむ、いたわること。 そばにいるのは自分の影だけで、体と影とがたがいをあわれんで慰め合うしかないという意味から。 三国時代の魏の曹植が上奏文で用い、のちに晋の李密が、年老いた祖母の世話をするために官職を辞退したいと願い出た上奏文「陳情表」でも、身寄りのない自分の境遇をこの言葉で述べた。 「形影(けいえい)相(あい)弔(とむら)う」とも読む。
経国大業(けいこくのたいぎょう)曹丕「典論」
国を安定して統治するために必要な大切な仕事。 または、素晴らしい文章のこと。 「経国」は国を治めること。 「大業」は社会的に重要な仕事。
荊山之玉(けいざんのぎょく)曹植「与楊徳祖書」
秀才で聡明な人のこと。 「荊山」は卞和が宝玉の原石を手に入れたという中国の山の名前で、その宝玉のように価値のある人物という意味から。
彦倫鶴怨(げんりんかくえん)孔稚珪「北山移文」
にせの隠者をそしる言葉。うわべを飾る生き方への批判にも使う。 「彦倫」は中国南斉の人の字(あざな)。鐘山に隠れ住んでいたが、召し出されて役人になった。 孔稚珪は「北山移文」という文章を書き、山の神になりかわって、彦倫はもう二度とこの山に入るなと言い渡した。 その中に、主のいなくなった小屋はからっぽで、夜になると鶴が恨めしそうに鳴いている、という一節がある。 隠者に寄り添う鳥とされる鶴までもが、だまされたと恨んでいる、という書きぶりで、彦倫の隠遁が見せかけだったことを批判した言葉から。
厚顔無恥(こうがんむち)孔稚珪「北山移文」
恥知らずで、遠慮がない態度のこと。 「厚顔」はあつかましいこと。 「無恥」は恥知らずなこと。 他人のことを一切考えずに、自分の思い通りに行動する態度のこと。 「無恥厚顔」ともいう。
広宵大暮(こうしょうたいぼ)陸機「挽歌詩」
死んだ人の悲しみを嘆く言葉。 「広宵」はどこまでも広がる夜。 「大暮」はいつまでも続く夜。 夜がどこまでも広がり、いつまでも夜が明けないということから。 「広霄大暮」とも書く。
曠世不羈(こうせいふき)孫楚「為石仲容与孫皓書」
長い期間、相手を服従させることができないこと。または、長い期間拘束することができないという意味。 「曠世」は長い期間。 「不羈」はなにものにも縛られないこと。
孔席墨突(こうせきぼくとつ)班固「答賓戯」
休む暇もないほど忙しく駆けまわること。 「孔」は儒家の孔子。 「席」は座席。 「墨」は思想家の墨子。 「突」は煙突のこと。 孔子や墨子は、道を説くために忙しく諸国を回るために、座席が暖まるほど座ることもなく、煙突に煤(すす)がつくほどかまどを使うこともないということから。 「孔席暖まらず墨突黔まず」を略した言葉。
古往今来(こおうこんらい)潘岳「西征賦」
過去から現在まで。 「古往」は昔から。 「今来」は今まで。 「古今」と略して使うことも多い言葉。 「今来古往」ともいう。
孤雌寡鶴(こしかかく)王褒「洞簫賦」
夫を失い、一人になった女性のたとえ。 「孤雌」はつがいの雄を失って孤独な雌。 「寡鶴」はつれあいのいない鶴のこと。
虎嘯風冽(こしょうふうれつ)王褒「聖主賢臣を得るの頌」
聖人が君主になると、それにともなってすぐれた臣下が現れることのたとえ。 虎が吠えると風が冷たくなるという意味から。 「虎(とら)嘯(うそぶ)きて風(かぜ)冽(つめた)し」とも読む。
胡馬北風(こばほくふう)「古詩十九首」
故郷を懐かしむことのたとえ。 「胡馬」は中国の北の胡の国で生産された馬のこと。 胡馬は、北風が吹くとどこにいても風に身をまかせて、故郷を懐かしむということから。
枯木朽株(こぼくきゅうしゅ)鄒陽「獄中上書自明」
老人のたとえ。 または、年をとって衰えた人や、弱くなった力のたとえ。 「枯木」は枯れた木。 「朽株」は枯れてぼろぼろに朽ちた切り株。 どちらも年老いたことのたとえ。または、力が衰えたことのたとえ。
参天弐地(さんてんじち)揚雄「劇秦美新」
天や地のように大きな徳を積むこと。 「参天」は天と並ぶこと。 「弐地」は地と並ぶこと。 「天(てん)に参じ地に弐(じ)す」とも読む。
算無遺策(さんむいさく)曹植「王仲宣誄」
策略が全てうまくいくこと。 「算」は結果を予測して考えること。 「遺策」は駄目な部分のある策略。 「算(さん)に遺策(いさく)無(な)し」とも読む。
座右之銘(ざゆうのめい)「座右銘」
常に自分の中に留めて、戒めとする格言、名言、諺などのこと。 「座右」は座席の右ということから、自分の側に置いておくこと。 「銘」は自身への戒めにすること。
残息奄奄(ざんそくえんえん)李密「陳情表」
どうにか呼吸が出来ているような、死んでしまいそうな状態のこと。 または、そのような状態のことから、広く色々なことが滅びてしまいそうな苦しい状況のこと。 「残息」は呼吸のこと。 「奄」は覆うやふさぐという意味で、「奄奄」は呼吸が止まってしまいそうな状態ということから、弱々しい状態のこと。 「残息奄々」とも書く。
暫労永逸(ざんろうえいいつ)張衡「西京賦」
先に苦労をして、その後はずっとのんびりと暮らすこと。 「暫労」は一時的に頑張って働くこと。 「永逸」はいつまでものんびりと暮らすこと。
四宇和平(しうわへい)枚乗「七発」
世界が平和で穏やかなこと。 「宇」は屋根のこと。 「四宇」は屋根のように世の中を覆っている空という意味から、世界のたとえ。
子虚烏有(しきょうゆう)「司馬相如」
何も無いこと。 または、でたらめで嘘の話。 「子虚」は事実とは異なること、嘘。 「烏有」はいずくんぞあらんやとも読み、何も存在しないという意味。 中国の漢の司馬相如は、「子虚」と「烏有」という架空の人物を出して、天子に倹約の大切さを説いたという故事から。
子墨客卿(しぼくかくけい)揚雄「長楊賦」
文人。詩文を作る人のこと。 「子墨」は墨を擬人化した表現、「客卿」は他国から来ている客分待遇の高官のこと。
襲故弥新(しゅうこびしん)陸機「文賦」
古い表現を使いながらも、目新しさを出すこと。 「襲」は、受け継ぐ。 「弥」は、より一層。ますます。 「故(もと)を襲(おそ)いて弥(いよいよ)新(あたら)し」とも読む。
秋風冽冽(しゅうふうれつれつ)左思「雑詩」
秋の風の厳しく冷たい様子。 「冽冽」は厳しい寒さのこと。 「秋風洌洌」とも書く。
珠襦玉匣(しゅじゅぎょっこう)任昉「為范尚書譲吏部封侯第一表」
美しいもののたとえ。 「珠襦」は宝石を縫い合わせた裾の短い美しい服。 「玉匣」は宝石で飾りつけた美しい箱。 どちらも地位の高い人の死を送るために使ったとされている。
将相之具(しょうしょうのぐ)李陵「蘇武に答うるの書」
将軍や宰相になることができるほどのすぐれた才能。 「将」は将軍。 「相」は宰相。
晨煙暮靄(しんえんぼあい)顔延之「陶徴士誄」
朝に出る霧と夕方に出るもや。 「晨煙」は朝早くに出る霧。 「暮靄」は日暮れに出るもや。 霧やもやで霞んでいる日の出や夕暮れの風景をいう言葉。
振臂一呼(しんぴいっこ)李陵「答蘇武書」
自分自身を奮い立たせること。 「振臂」は腕を振ること。 「一呼」は声を出すこと。 腕を振って声を出すということから。
深謀遠慮(しんぼうえんりょ)賈誼「過秦論」
深く考えをめぐらせて、遠い先の未来のことを見通して、手抜かりのない計画を立てること。また、その計画のこと。 「深謀」は欠陥がないようにしっかり考えられた計画。 「遠慮」は遠い先のことをしっかりと考えること。 「遠慮深謀」ともいう。
深慮遠謀(しんりょえんぼう)賈誼「過秦論」
遠い先の未来のことに深く考えをめぐらせて、手抜かりのない計画を立てること。 または、その計画そのもののこと。 「深慮」は欠陥がないようにしっかり考えられた計画。 「遠謀」は将来のことを見通してしっかりと考えること。 「遠謀深慮」ともいう。
青蓋黄旗(せいがいこうき)陸陲「石闕銘」
天子が出現する吉兆、めでたい前兆のこと。 「青蓋」は青い日よけのつけた車で青蓋車。 「黄旗」は黄色い旗のことで、どちらも天子の用いる物。 気が集まって青蓋車や黄旗の形で天に現れるといわれている。
星羅雲布(せいらうんぷ)班固「西都賦」
たくさんのものが連なっている様子のたとえ。 「星羅」は星のように連なっていること。 「雲布」は雲のように広い範囲に敷き詰めること。 元は軍隊の陣形が大きく華々しいことを言い表す言葉。 「星(ほし)のごとく羅(つら)なり雲(くも)のごとく布(し)く」とも読む。
尺沢之鯢(せきたくのげい)宋玉「対楚王問」
経験が少なく、知識が狭いこと。 または、そのような人のこと。 「尺沢」は小さな池。 「鯢」は山椒魚のこと。 小さな池に住む山椒魚は、その池の中のことしか知らないということから。
千載一遇(せんざいいちぐう)王褒「四子講徳論」
千年に一度あるかないかの絶好の機会のこと。 「千載」は千年という意味。「載」は年のこと。 「一遇」は一度出会うこと。
草偃風従(そうえんふうじゅう)任昉「天監三年策秀才文」
上に立つ人の徳に人々が感化されて、自然と従うようになること。 「草偃」は草が倒れてなびくこと。「風従」は風に従うこと。風が吹けば草がその方向へなびくように、人々が上に立つ人の徳になびくたとえ。 『論語』に、悪人を殺して世を正そうかと尋ねた魯の重臣の季康子に、孔子が「殺す必要はない。あなたが善を望めば民も善になる」と答えた話がある。そのとき「上に立つ人の徳は風、民の徳は草で、草は風を受ければ必ずなびく」とたとえた言葉から。
操觚之士(そうこのし)陸機「文賦」
文章を書くことを生活するための手段にしている人のこと。 「觚」は文字を書いた木札のことで、それを操る人という意味から。
楚夢雨雲(そむううん)宋玉「高唐賦」
男女の交わり、情交のたとえ。 中国の戦国時代の楚の懐王が昼寝をした際、夢の中で巫山の女神と情交を結んだ。別れ際に女神が「朝には雲となって、夕方には雨となってここに参ります」と言ったという故事から。
大隠朝市(たいいんちょうし)王康琚「反招隠詩」
本物の隠者は、人里離れた山にこもるのではなく、にぎやかな町の中に身を置きながら、世間のさわがしさに心を動かされることなく暮らしているものだということ。 「大隠」は本物の隠者(世間から離れて暮らす人)。心が世の中の欲や騒ぎからすっかり離れている人をいい、山や沢に隠れ住む隠者を「小隠」というのに対する語。 「朝市」は朝廷と市場のことで、人が多く集まる俗世間のたとえ。 『文選』に収められた王康琚の詩「反招隠詩」に、伯夷が首陽山にこもったことと、老子が周の役人として朝廷にいたこととを並べて、「小隠は陵藪(山や沢)に隠れ、大隠は朝市に隠る」と詠んだ言葉から。
泰山之安(たいざんのやすき)枚乗「上書諫呉王」
その山のようにどっしりと安定していて変わらないこと。 「泰山」は中国の山の名前。 「太山之安」とも書く。
太牢滋味(たいろうのじみ)王褒「聖主得賢臣頌」
立派で豪華な料理のこと。 「太牢」は祭りの時に供えるいけにえという意味から、牛、羊、豚の三種の肉のこと。 「滋味」はおいしい食べ物のこと。 「大牢滋味」とも書く。
団雪之扇(だんせつのおうぎ)「怨歌行」
時期がずれたために、必要がなくなったもののたとえ。 または、男性にすてられた女性のたとえ。 中国の漢の成帝からの寵愛を失った班婕妤が、自身が捨てられることを、夏から秋になり、涼しくなって捨てられる扇にたとえた詩で、その扇が丸くて雪のように白いということから。
池魚籠鳥(ちぎょろうちょう)潘岳「秋興賦」
束縛された境遇のたとえで、主に宮仕えの役人のこと。 また、不自由な暮らしのこと。 不自由な境遇を「池の魚」と「籠(かご)の鳥」にたとえたもの。
朝雲暮雨(ちょううんぼう)宋玉「高唐賦」
男女の交わり、情交のたとえ。 中国の戦国時代の楚の懐王が昼寝をした際、夢の中で巫山の女神と情交を結んだ。別れ際に女神が「朝には雲となって、夕方には雨となってここに参ります」と言ったという故事から。
重熙累洽(ちょうきるいこう)班固「東都賦」
天子の徳が積み重なっていって、その恩恵が広く行き渡ること。 「重熙」は光明を積み重ねること。 「累洽」は恩恵が広く行き渡ること。 何代もの間、善政が続いて平和な時代が長く続くという意味から。
朝朝暮暮(ちょうちょうぼぼ)宋玉「高唐賦」
毎朝毎晩。 「朝朝」は毎朝。 「暮暮」は毎晩。 「暮暮朝朝(暮々朝々)」ともいう。
枕経藉書(ちんけいしゃしょ)班固「答賓戯」
読書に夢中になることのたとえ。 枕として経書を使い、敷物として書物を使うということから。 「経(けい)を枕にし書を藉(し)く」とも読む。
椎心泣血(ついしんきゅうけつ)李陵「答蘇武書」
激しく怒り悲しむこと。 「椎心」は怒りや悲しみのあまりに、自分の胸を拳でたたくこと。 「泣血」は涙が枯れて血が出るほどに、激しく泣き悲しむこと。 「心(むね)を椎(う)ちて泣血(きゅうけつ)す」とも読む。
追奔逐北(ついほんちくほく)李陵「答蘇武書」
走って逃げる賊などを追いかけるという意味。 「追」と「逐」は追いかけるという意味。「奔」と「北」は走って逃げるという意味。
天宇地廬(てんうちろ)左思「魏都賦」
世界。天と地。この世。 「天宇」は空の屋根という意味から、空や世界のこと。 「地廬」は地のいおりという意味から、大地のこと。
天閫地垠(てんこんちぎん)揚雄「甘泉賦」
天の門と地の果てのこと。 「閫」は門の内と外を区切る横木、しきみやしきいのこと。 「垠」は地の果てや境、かぎり。
豆剖瓜分(とうぼうかぶん)鮑照「蕪城賦」
一つの国が小さく分裂すること。 瓜や豆を割るように小さくわかれるという意味から。 「瓜剖豆分」ともいう。
螳螂之衛(とうろうのえい)左思「魏都賦」
数が少なく弱い兵力や軍備のこと。 「螳螂」はかまきりのこと。 「衛」は防衛、守備をする人のこと。 「螳螂」は「蟷螂」とも書く。
波詭雲譎(はきうんけつ)揚雄「甘泉賦」
魅了して夢中にすること。または、文章の作り方が自在で巧みなこと。 「詭」と「譎」はどちらもいつわるやあやしいという意味で、波や雲のように自在に形を変えて、人の目を奪うということから。 「波のごとく詭(あや)しく雲のごとく譎(あや)し」とも読む。
非常之人(ひじょうのひと)司馬相如「難蜀父老文」
二つとないほどにすぐれた能力をもった人のこと。 「非常」は普通とは違う、一際すぐれていること。
百年之業(ひゃくねんのぎょう)班固「西都賦」
これから後の世に残る素晴らしい仕事のこと。 または、昔から受け継がれてきた伝統的な仕事のこと。 「業」は仕事という意味。
飄忽淜滂(ひょうこつひょうほう)宋玉「風賦」
速い速度で風が吹き付ける様子。または、その音を言い表す言葉。 「飄忽」は素早い様子。 「淜滂」は風が物に当たった時に発する音。
風塵之会(ふうじんのかい)班固「答賓戯」
戦争で混乱している世の中のこと。または、社会が不安定で秩序が乱れていること。 「風塵」は風で舞う砂や埃のことから、戦乱のこと。 「会」は情勢や時勢のこと。
風流雲散(ふうりゅううんさん)王粲「贈蔡子篤詩」
離れ離れになることを言い表す言葉。 風が流れるように去って、雲のように飛び散るという意味から。 「風(かぜ)のごとく流れ雲のごとく散る」とも読む。
浮雲蔽日(ふうんへいじつ)「古詩十九首」
悪い家臣が君主を惑わすこと。 または、悪人が政治を行う権力を持って、世の中が暗くなることのたとえ。 「浮雲」は日の光を隠す浮雲のことから、悪人のたとえ。 「蔽日」は日の光を覆い隠すこと。 「浮雲(ふうん)日を蔽(おお)う」とも読む。
浮瓜沈李(ふかちんり)曹丕「与朝歌令呉質書」
上品で趣きや味わいのある夏の遊び。 瓜を水に浮かべて、李を水に沈めること。 「瓜を浮かべて李(すもも)を沈む」とも読む。
巫山之夢(ふざんのゆめ)宋玉「高唐賦」
男女の交わり、情交のたとえ。 「巫山」は中国の四川省と湖北省の間にある、女神が住んでいたとされる山のこと。 中国の戦国時代の楚の懐王が昼寝をした際、夢の中で巫山の女神と情交を結んだ。別れ際に女神が「朝には雲となって、夕方には雨となってここに参ります」と言ったという故事から。
芙蓉覆水(ふようふくすい)張衡「東京賦」
花が一番盛んな季節に、たくさん美しく咲いている様子。 「芙蓉」は蓮の花。 蓮の花の季節になり、池を覆い尽くすほどに咲き乱れるということから。 「芙蓉(ふよう)水を覆(おお)う」とも読む。
秉燭夜遊(へいしょくやゆう)「古詩十九首」
人生は短いので、夜遅くまで遊んで楽しもうという意味。 「秉燭」は手に灯りを持つこと。
抱残守欠(ほうざんしゅけつ)「移書譲太常博士」
ほとんどがなくなって不完全な書物や、残った書物の欠片を大切にすること。または、保守的な思想で、革新的な思想を受け入れないこと。 「残」と「欠」は失われたものの残った部分。 「抱」と「守」は抱きかかえるように大切に守ること。 「残(ざん)を抱(いだ)き欠(けつ)を守る」とも読む。 「抱残守闕」とも書く。
妨功害能(ぼうこうがいのう)李陵「答蘇武書」
功績がある人の妨害をして、有能な人物を損なうこと。 「功」は功績のある人。 「能」は才能のある人。 「功を妨げ能を害す」とも読む。
磨礱砥礪(まろうしれい)枚乗「書を上りて呉王を諫む」
物が知らない間にすり減っていること。 「磨」は挽き臼。 「礱」は磨り臼。 「砥」と「礪」はどちらも砥石(といし)のこと。 どれも石製の道具のことで、こするや磨くという意味がある。 こすったり磨いたりすると、すり減ってなくなることから。
命世之才(めいせいのさい)李陵「答蘇武書」
世に有名な才能のこと。 または、そのような才能を持っている人のこと。 「命世」は世に名前が知れ渡っているという意味。
憂来無方(ゆうらいむほう)魏文帝「善哉行」
心配事はいつ、どこから来るか予想できないということ。 「憂来」は気がかりな出来事が現れること。 「無方」は方角が決まっていないこと。 「憂いの来(きた)る方(ほう)無し」とも読む。
鷹犬之才(ようけんのさい)陳琳「為袁紹檄予州」
猟で使われる鷹(たか)や犬は主の意思に従って働くことから、手先として使うことで役に立つ才能やその才能の持ち主のこと。 「才」は才能、または才能の持ち主。
竜吟虎嘯(りょうぎんこしょう)張衡「帰田賦」
同じ類の者はお互いに気持ちや考えが通じ合うということ。 または、人の歌声や音が響き渡ること。 「竜吟」は竜が鳴くこと、「虎嘯」は虎が吠えることで、竜が鳴けば雲が生まれ、虎が吠えれば風が生まれるといわれる。
竜興致雲(りょうこうちうん)王褒「聖主得賢臣頌」
聖徳のある天子が立つと、賢明な臣下が現れることのたとえ。 竜が興ると雲がわき起こることになぞらえた語。
零丁孤苦(れいていこく)李密「陳情表」
社会的地位や身分、財産などを失い、身寄りもなく苦労すること。 「零丁」は落ちぶれて身寄りのないこと。 「孤苦」は親がいなくて苦労すること。 晋の李密が武帝からの任官を辞退するときの上奏文で使われた言葉。 「孤苦零丁」ともいう。
