兵法三十六計の四字熟語 — 31 件
中国に伝わる三十六通りの計略を、第一計から順に並べました。正面からぶつからずに勝つ、敵の目をそらす、退き時を誤らない――戦いの場だけでなく、交渉や競争の場でも読み解ける考え方がそろっています。「三十六計逃げるに如かず」の三十六計とは、この計略のことです。
四字熟語一覧
三十六計(さんじゅうろっけい)
逃げるべきときには逃げるのが最もよい計略であるということ。 古代中国の三十六種の兵法の一つで、その中で最もよいとされる計略。 「三十六計逃ぐるに如(し)かず」を略した言葉。
瞞天過海(まんてんかかい)
何気ない行動を繰り返して相手を慣れさせ、警戒がゆるんだところで事を運ぶこと。 「瞞」はあざむくこと。 「天」は天子のことで、上に立つ者をいう。 海を渡るのを恐れた唐の太宗を、家臣が海上の船を陸の館に見せかけて招き入れ、気づかせないまま渡らせたという話から。 見慣れたものほど疑われないという考え方。 兵法三十六計の第一計。 「天(てん)を瞞(あざむ)きて海(うみ)を過(わた)る」とも読む。
囲魏救趙(いぎきゅうちょう)
攻められている味方を直接助けに行かず、敵の手薄な本拠を攻めて包囲を解かせること。 中国の戦国時代、魏に趙の都を囲まれたとき、斉の孫臏は趙へは向かわずに、守りが薄くなっていた魏の都の大梁を攻めたため、魏軍は引き返さざるをえなくなったという故事から。 正面からぶつからず、敵が守らなければならない場所を突くという考え方。 兵法三十六計の第二計。 「魏(ぎ)を囲(かこ)んで趙(ちょう)を救(すく)う」とも読む。
借刀殺人(しゃくとうさつじん)
自分では手を下さず、他人の力を使って敵を倒すこと。 「借刀」は他人の刀を借りること。 自分の刀ではなく、人から借りた刀で人を殺すという意味から。 自らの力を減らさずに目的を果たす策略をいう。 兵法三十六計の第三計。 「刀(かたな)を借(か)りて人(ひと)を殺(ころ)す」とも読む。
以逸待労(いいつたいろう)
こちらが動かないときに、相手が動かなければいけない情況を作って相手の疲弊を狙う策略。 兵法三十六計の第四計。 局面の主導権を握ることの重要性をいうもの。
趁火打劫(ちんかだこう)
相手が混乱しているすきをついて、一気に利益を奪い取ること。 「趁」はつけこむこと。 「打劫」は襲って奪うこと。 火事の騒ぎに乗じて金品を奪うという意味から。 日本語の「火事場泥棒」と同じ発想の言葉。 兵法三十六計の第五計。 「火(ひ)に趁(つけこ)んで劫(おしこみ)を打(はたら)く」とも読む。
声東撃西(せいとうげきせい)
東を攻めると見せかけて、実際には西を攻めること。 「声」は言いふらすこと。 攻める場所をわざと言い広めて敵の備えをそちらへ寄せ、手薄になった別の場所を突く。 兵法三十六計の第六計。 「東(ひがし)に声(こえ)して西(にし)を撃(う)つ」とも読む。
無中生有(むちゅうしょうゆう)
ありもしないものをあるように見せかけて、相手を惑わすこと。 「無中」は何もない中のこと。 何もないところから有るものを生み出すという意味から。 はじめは偽りで敵をあざむき、相手が偽りだと決めてかかったところで本物を繰り出す策略をいう。 兵法三十六計の第七計。 「無中(むちゅう)に有(ゆう)を生(しょう)ず」とも読む。
暗渡陳倉(あんとちんそう)
表向きの動きで敵の目を引きつけておいて、その裏でひそかに別の道から攻めること。 「陳倉」は中国の地名。 漢の韓信が、焼き落とした桟道を修復すると見せかけて敵の目をそこへ集め、その間に別の道から陳倉へ攻め入ったという故事から。 「明修桟道、暗渡陳倉」という形でも使われる。 兵法三十六計の第八計。 「暗(ひそ)かに陳倉(ちんそう)に渡(わた)る」とも読む。
隔岸観火(かくがんかんか)
他人の災難の手助けをしようとせず、ただ見物すること。 「隔岸」は川の向こう岸のこと。 「観火」は火事を見ること。 「対岸の火事」と同じ意味の言葉。 元は兵法三十六計の第九計で、内乱などで敵が自滅するのを黙って待つ戦術のことをいう。 「岸(きし)を隔てて火(ひ)を観る」とも読む。
笑裏蔵刀(しょうりぞうとう)
見た目は優しそうに見えるが、内心はひどく陰険なこと。 「笑裏」は笑顔の内側のこと。 「蔵刀」は刀を隠して持っていること。 兵法三十六計の第十計。 「笑裏(しょうり)に刀(とう)を蔵(ぞう)す」とも読む。
李代桃僵(りだいとうきょう)
大きなものを守るために、小さなものをあえて犠牲にすること。 「李」はすももの木。 「僵」は倒れること。 桃の木の根が虫に食われたとき、隣に生えた李の木が身代わりになって枯れたという古い歌から。 すべてを守ろうとせず、失ってもよいものをあらかじめ決めておくという考え方。 兵法三十六計の第十一計。
順手牽羊(じゅんしゅけんよう)
わずかな隙も見のがさず、手近な利益を確実に取っていくこと。 「順手」は手の動きのついでにということ。 「牽羊」は羊を引いていくこと。 通りすがりに、そこにいた羊をついでに引いて帰るという意味から。 大きな戦いの陰にできた小さな隙を拾い集める策略をいう。 兵法三十六計の第十二計。 「手(て)に順(したが)いて羊(ひつじ)を牽(ひ)く」とも読む。
打草驚蛇(だそうきょうだ)
必要のないことをしたために、無駄な災難にあうこと。 草をたたいて、草の中に隠れている蛇を驚かすという意味から。 「草(くさ)を打って蛇(へび)を驚かす」とも読む。 五代十国時代の南唐で、賄賂で私腹を肥やしたとされる地方長官の王魯の故事から。 兵法三十六計の第十三計でもあり、そちらは疑わしいところをあえて突いて、敵の様子を探るという意味で使われる。
借屍還魂(しゃくしかんこん)
役に立たなくなったものや忘れられていたものを担ぎ出して、自分の勢いを取り戻すこと。 「屍」は死体のこと。 「還魂」は魂が戻ること。 死んだ者の体を借りて生き返るという意味から。 すでに用済みと思われている名目や人物を、あえて利用する策略をいう。 兵法三十六計の第十四計。 「屍(しかばね)を借(か)りて魂(たましい)を還(かえ)す」とも読む。
調虎離山(ちょうこりざん)
敵を、その敵にとって有利な場所から誘い出してから討つこと。 「調」はおびき出すこと。 虎は山にいるかぎり手強いので、山から離れさせてから戦うという意味から。 相手の強さがどこから来ているかを見きわめ、その足場を外させる策略をいう。 兵法三十六計の第十五計。
欲擒姑縦(よくきんこしょう)
相手を心から従わせるために、あえて一度逃がしてやること。 「擒」は捕らえること。 「姑」はしばらくということ。 追いつめすぎると必死に抵抗するので、逃げ道を残して力をそぎ、進んで降伏するように仕向けるという考え方。 諸葛亮が孟獲を七度捕らえて七度放したという「七縦七擒」の故事が、この計の例として知られる。 兵法三十六計の第十六計。
抛磚引玉(ほうせんいんぎょく)
値打ちの低いものを差し出して、相手から値打ちの高いものを引き出すこと。 「磚」は敷き瓦のこと。 「玉」は宝石のこと。 瓦を投げ与えて宝石を引き出すという意味から。 自分のつたない考えを先に示して、すぐれた意見を出してもらうという、へりくだった言い方としても使われる。 兵法三十六計の第十七計で、そちらは似たものを囮として示し、敵を誘い出す策をいう。
擒賊擒王(きんぞくきんおう)
敵を破るには、まず頭となる者を討つべきだということ。 「擒」は捕らえること。 賊を捕らえるなら、その王を捕らえよという意味から。 杜甫の詩「前出塞」の「人を射んとせば先ず馬を射よ、賊を擒えんとせば先ず王を擒えよ」による。 兵法三十六計の第十八計。
釜底抽薪(ふていちゅうしん)
根本にある原因を取り除かなければ、問題を解決することはできないということ。 火にかけた釜が煮え立たないようにするには、釜の下にある薪を取り出すのがよいという意味から。 兵法三十六計の第十九計。 「釜底(ふてい)薪(たきぎ)を抽(ぬ)く」とも読む。
混水模魚(こんすいもぎょ)
状況を乱して利益を得ること。 水を濁らせて魚の目を眩まして、混乱している魚を捕まえるという意味から。 兵法三十六計の第二十計。 「水を混(にご)して魚(うお)を模(さぐ)る」とも読む。 「混水摸魚」とも書く。
金蝉脱殻(きんせんだっかく)
外から見える形はそのままにしておいて、中身だけをひそかに抜き出すこと。 「金蝉」は蝉のこと。 「脱殻」は抜け殻を残して抜け出すこと。 蝉が殻を残したまま飛び去るという意味から。 陣地や旗をそのままにして敵に気づかせず、本隊だけを移す策略をいう。 兵法三十六計の第二十一計。 「金蝉(きんせん)、殻(から)を脱(だっ)す」とも読む。
関門捉賊(かんもんそくぞく)
逃げ道をふさいでから敵を捕らえること。 「関門」は門を閉ざすこと。 「捉賊」は賊を捕らえること。 門を閉めきってから、中にいる賊を捕らえるという意味から。 逃げ道を残す「欲擒姑縦」とは逆に、相手が小勢のときに用いる策とされる。 兵法三十六計の第二十二計。 「門(もん)を関(と)ざして賊(ぞく)を捉(とら)う」とも読む。
遠交近攻(えんこうきんこう)
遠くの国と親しくして、近くの国を攻める策略。 中国の戦国時代に范雎が秦の君主に進言した策略で、兵法三十六計の第二十三計にあたる。
仮道伐虢(かどうばつかく)
通り道を貸してほしいという名目で入り込み、そのまま相手を滅ぼすこと。 「仮道」は道を借りること。 「虢」は古代中国の国の名。 晋が虞に道を借りて虢を攻め滅ぼし、その帰りに、道を貸した虞まで滅ぼしたという故事から。 「唇亡歯寒」の由来となった出来事と同じもの。 兵法三十六計の第二十四計。 「道(みち)を仮(か)りて虢(かく)を伐(う)つ」とも読む。
偸梁換柱(とうりょうかんちゅう)
外から見える形は変えないまま、中身や骨組みをひそかに入れ替えて、相手を弱らせること。 「偸」はぬすむこと。 「梁」は建物を支える横木、「柱」は建物を支える柱のこと。 梁を抜き柱を替えれば、見た目はそのままでも建物は倒れるという意味から。 味方のふりをして相手の主力を入れ替え、動けなくする策略をいう。 兵法三十六計の第二十五計。 「梁(はり)を偸(ぬす)み、柱(はしら)に換(か)う」とも読む。
指桑罵槐(しそうばかい)
別のものを叱ってみせて、本当に言いたい相手に思い知らせること。 「槐」はえんじゅの木。 桑の木を指さしながら、えんじゅの木をののしるという意味から。 面と向かって責めにくい相手を、遠まわしに戒めるやり方をいう。 兵法三十六計の第二十六計。 「桑(くわ)を指(さ)して槐(えんじゅ)を罵(ののし)る」とも読む。
仮痴不癲(かちふてん)
愚か者のふりをして本心を隠し、動くべきときを待つこと。 「痴」は愚かなこと。 「癲」は正気を失うこと。 愚かなふりはしても、正気は失わないという意味から。 何もわかっていないように見せて相手の油断を誘い、内では備えを整えておくこと。 兵法三十六計の第二十七計。 「痴(ち)を仮(か)りて癲(てん)わず」とも読む。
上屋抽梯(じょうおくちゅうてい)
相手をおびき寄せておいて、逃げ道を断つこと。 「抽梯」ははしごを取り去ること。 屋根に上らせておいて、はしごを外すという意味から。 利になるものを見せて敵を誘い込み、退けなくしてから討つ策略をいう。 兵法三十六計の第二十八計。 「屋(おく)に上(あ)げて梯(はしご)を抽(はず)す」とも読む。
樹上開花(じゅじょうかいか)
実際の力以上に、勢いがあるように見せかけること。 花のない木に造花を飾りつけて、花が咲いているように見せるという意味から。 兵力が足りないときに、旗や陣立てを大きく構えて敵に強く見せる策略をいう。 兵法三十六計の第二十九計。 「樹上(じゅじょう)に花(はな)を開(さ)かす」とも読む。
反客為主(はんかくいしゅ)
客の立場にいた者が、少しずつ入り込んで主導権を奪い取ること。 「客」は招かれた側、「主」は迎える側のこと。 客であったものが、いつのまにか主人に取って代わるという意味から。 はじめは相手に従うふりをして足がかりを作り、機を見て立場を入れ替える策略をいう。 兵法三十六計の第三十計。
