楚囚南冠について

四字熟語 | 楚囚南冠 |
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読み方 | そしゅうなんかん |
意味 | 捕虜として捕らわれていても、祖国のことを忘れないこと。 または、捕らわれて他国にいる人のこと。 「楚囚」は他国に捕らわれた楚の国の人。 「南冠」は南方にある国の様式の冠で、この場合の南方は楚の国のことをいう。 中国の春秋時代、楚の鐘儀は晋に捕らえられていても、祖国である楚の国の冠をいつも被っていたという故事から。 |
出典 | 『春秋左氏伝』「成公九年」 |
使用されている漢字
「楚」を含む四字熟語
越鳧楚乙(えつふそいつ)
場所や人が違えば、同じものでも呼び名が違うことのたとえ。 「越」と「楚」は古代中国の国の名前。 「鳧」は鴨(かも)のこと。「乙」は燕(つばめ)のこと。 空高く飛んでいる鴻(おおとり)を見て、越の国の人は鴨であると言い、楚の国の人は燕であると言ったという故事から。
肝胆楚越(かんたんそえつ)
そっくりなものでも、見方によっては違うものに見えるということ。 または、非常に近い関係の者の交際が途絶えがちになることのたとえ。 「肝胆」は内臓の肝臓と胆嚢。 「楚」と「越」は中国の国の名前で、楚は長江の中流にあり、越は長江の下流にあった。 異なる物という観点から見れば、体の中で隣り合っている肝臓と胆嚢も、楚と越の国のように離れているように思えるという意味から。
四面楚歌(しめんそか)
周りを敵や反対者に囲まれており、味方がいなくて孤立している状態のこと。 楚の項羽は漢の劉邦に追い詰められたときに、夜になって漢の軍の中から聞こえてきた楚の国の歌をきいて、漢に降った楚の人が多いことを嘆き、敗北を悟った故事から。
楚越同舟(そえつどうしゅう)
互いに仲が悪い人たちや、互いに敵対関係にある人たちが同じ場所にいたり、同じ境遇にあること。 もとは、そのような人たちでも利害が同じ場合は協力しあうという意味。 「楚」と「越」は中国の春秋時代の国の名前、「同舟」は同じ舟に乗ること。 長い間、敵対関係にある楚と越の国の人たちが、同じ舟に乗って転覆しそうになったときは、敵同士であっても助け合うだろうと「孫子」が言ったという故事から。
楚材晋用(そざいしんよう)
自国のすぐれた人材が他国に移ってしまうこと。 または、自分とは直接関係ないところにある人材や、物をうまく利用すること。 「楚材」は中国の楚の国の人材。 「晋」は中国の国の名前。 楚の貴族たちは刑罰の乱用を恐れて、敵対していた晋の国に亡命して重用されたという故事から。
楚夢雨雲(そむううん)
男女の交わり、情交のたとえ。 中国の戦国時代の楚の懐王が昼寝をした際、夢の中で巫山の女神と情交を結んだ。別れ際に女神が「朝には雲となって、夕方には雨となってここに参ります」と言ったという故事から。
「囚」を含む四字熟語
囚首喪面(しゅうしゅそうめん)
顔や髪を整えないこと。 「囚」は囚人、「首」は頭という意味から、髪のこと。 「喪」は喪中の人。 髪を梳かさない囚人のように乱れた髪と、顔を洗わない喪中の人のように汚れた顔という意味から。
楚囚南冠(そしゅうなんかん)
「南」を含む四字熟語
越鳥南枝(えっちょうなんし)
故郷を懐かしみ忘れがたく思う気持ちのたとえ。 「越鳥」は中国の南方にある越の国から渡ってきた鳥。 「南枝」は南に向かって伸びている木の枝。 南方にある越の国から渡ってきた鳥は、南に向かって伸びている木の枝に巣を作るという意味から。 「越鳥は南枝に巣くう」を略した言葉。
子見南子(しけんなんし)
礼の道を守るために、周りに惑わされず自分の考えを信じること。 「南子」は、衛の国王霊公の夫人。 孔子は、衛の国王霊公に招かれた際、夫人の南子に謁見することが礼の道と考えたが、弟子の子路は南子の素行の悪さから謁見を嫌がり不快に思った。 しかし孔子は「私にやましいところがあれば天が私を見捨てるだろう」と誓いを立て、考えを変えなかったという故事から。
終南捷径(しゅうなんしょうけい)
正規の試験などをすることなく官職につくこと。または、終南山には仕官への近道があるということ。 「終南」は長安の南にある山の終南山のこと。 「捷径」は近道、最短距離の道のこと。 終南山で隠居していた盧蔵用が、則天武后に召されて官職を得た故事から、終南山で隠者のふりをすることで名声が上がって仕官への近道になるという意味。
東西南北(とうざいなんぼく)
方位の東、西、南、北のこと。または、周囲の全ての方向のこと。
斗南一人(となんのいちにん)
この世で最もすぐれている人のこと。 「斗南」は星座の北斗七星よりも南という意味から、天下という意味。 天下で並ぶ人がいないほどすぐれているということから。
図南鵬翼(となんのほうよく)
大事業や海外進出などの大きな計画を立てること。 大きな目標を立てて、その目標を達成しようとすることをいう。 「図南」は南の海へ行こうと計画すること。 「鵬」は伝説の大きな鳥。 鵬が南の海を目指して飛びたったという説話から。
「冠」を含む四字熟語
衣冠禽獣(いかんきんじゅう)
下品で程度の低い人のたとえ。 礼服を着た鳥や獣ということから。 「衣冠」は官吏が朝廷に勤めに出る際に着る服。 「禽獣」は鳥と獣のことで、人格の低い人のたとえ。
衣冠盛事(いかんせいじ)
名門の家に生まれてさらに功績を上げた後に、家の名声を引き継ぐこと、またはその者のこと。 「衣冠」は衣服と冠のことで名門、立派な家柄という意味。 「盛事」は立派な事業や功績、盛大な事柄のこと。
衣冠束帯(いかんそくたい)
昔の貴族や官僚が公事で着用する礼装のこと。 「束帯」は貴族や官僚が公事で着用する礼装のこと。 「衣冠」は簡易化した礼装のこと。
海内冠冕(かいだいのかんべん)
世界で一番ということ。 「海内」は四方の海の内側という意味から、国家や世界のこと。 「冠冕」は高い地位の人がつける冠ということから、一位や一番という意味。
冠婚葬祭(かんこんそうさい)
祝いと弔いの儀式の総称。 「冠」は成人式、「婚」は結婚式、「葬」は葬式、「祭」は法事や盆などの祖先の祭礼のこと。 「婚」は「昏」、「葬」は「喪」とも書く。
冠前絶後(かんぜんぜつご)
他よりも、飛び抜けてすぐれていること。 または、極めて珍しいこと。 「冠前」は過去から今までで一番すぐれていること。 「絶後」は今から未来にも現われないということ。 「冠絶」と略して使うこともある言葉。 中国の宋の徽宋帝が、唐の画家の呉道子を評した故事から。