月下推敲について

四字熟語 | 月下推敲 |
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読み方 | げっかすいこう |
意味 | 詩文の字句や表現を深く考えて、何度も修正して仕上げること。
月の光に照らされた門を開ける動作を「推す」と表現するか、「敲く」と表現するか、考えをめぐらせるという意味から。 中国の唐の詩人の賈島が、科挙の試験を受けるために驢馬に乗って移動している時、詩の表現を「推す」と「敲く」のどちらにすべきか悩みながら進むと、政府の高官である韓愈の行列にぶつかってしまった。 賈島は韓愈に非礼をわびて事情を話すと、韓愈は「敲のほうがよい」と答えた。 それから二人は詩を論じ合ったという故事から。 |
出典 | 『唐詩紀事』「四○」 |
使用されている漢字
「月」を含む四字熟語
愛月撤灯(あいげつてっとう)
ものを大切にして可愛がる程度が、極めて激しいこと。 「愛月」は月を愛すること。 「徹灯」は光源となる灯りを撤去すること。 中国の唐の蘇テイは、酒を飲みながら詩を作る宴席で、月明かりがとても美しかったので、灯りを撤去させたという故事から。 「月を愛して灯を撤す」とも読む。
一月三舟(いちがつさんしゅう)
仏の教えは一つなのに、受け手によりそれぞれの解釈があるということ。 同じ一つの月でも、停止している舟から見れば止まって見え、北へ動く舟から見れば北へ動いているように見え、また南へ動く舟から見れば南へ動いているように見えるということから。
一竿風月(いっかんふうげつ)
俗世にとらわれず、自然の中でのんびりと自由な生活を送ること。 「竿」は釣竿のこと。 「風月」は自然を親しみ、風流を楽しむこと。 一本の釣竿を持って、風流を楽しむということから。
雲心月性(うんしんげっせい)
清らかな心があり、地位や利益にこだわらないこと。 人の心や性質を清らかな月と雲にたとえた言葉。
雲壌月鼈(うんじょうげつべつ)
両者の違いが非常に大きいこと。 「雲壌」は天と地。 「月鼈」は月とすっぽん。 どちらも違いが大きいことのたとえとして使われる言葉。
猿猴取月(えんこうしゅげつ)
自身の地位や能力を過信して、欲を出しすぎて身を滅ぼすこと。 「猿猴」は動物の猿こと。 猿たちが木の枝から次々と尾をつかんでぶら下がって、井戸の中の水に映った月を取ろうとすると、枝が折れてしまい、猿たちは溺れ死んだという昔話から。 「猿猴月を取る」とも読む。
「下」を含む四字熟語
阿爺下頷(あやあがん)
物事を見分けることができない愚かな人のたとえ。 または、間違いのこと。 「阿爺」は父親のこと。 「下頷」は下あごのこと。 愚かな人が、戦死した父親の遺骨を探しに戦地に行き、馬の鞍(くら)の破片を父親の下あごの骨と思い込んで大切に持ち帰ったという故事から。
一上一下(いちじょういちげ)
上がったり下がったりすること。 または、情況に合わせて対応すること。 「一」は"あるときは"の意味。
因病下薬(いんびょうかやく)
相手の性格や能力に応じて適切な指導を行うこと。 症状に合わせた薬を与えるということから。 「病に因りて薬を下す」とも読む。
轅下之駒(えんかのこま)
能力が足りないために、仕事を片付けられないこと。 または、人から束縛されて、自由にできないこと。 「轅」は馬車や牛車の舵棒、ながえのこと。 「駒」は二歳の若い馬。 まだ力の足りない若い馬を馬車につなぐという意味から。
下意上達(かいじょうたつ)
地位や立場が下の者の意見が、上の人にしっかりと理解されること。 「下意」は地位や立場が下の人の意見や考え。 「上達」は地位や立場が上の人に届くこと。
花下曬褌(かかさいこん)
風流の心の無いたとえ。 「曬」は日光にさらすこと。 「花下(かか)に褌(ふんどし)を曬(さら)す」とも読む。
「推」を含む四字熟語
因往推来(いんおうすいらい)
過去の出来事から、これから先に起きそうな出来事を予測すること。 「往」は過去の出来事。 「来」は未来の出来事。 「往に因りて来を推す」とも読む。
解衣推食(かいいすいしょく)
人に恩を施すことや人を重用すること。 「解衣」は着ている衣を解き与えること。 「推食」は自分の食べ物を推して食べさせること。 「衣を解き、食を推す」とも読む。
上援下推(じょうえんかすい)
上の人から目をかけられ、下のものから推薦されること。 「援」は引き上げるという意味。 「推」は推す、推薦するという意味。
推陳出新(すいちんしゅっしん)
古いものを処分して、新しいものを生み出すこと。 または、古いものを取り入れて、新しいものをつくること。 「推」は押しのけるや推測すること。 「陳」は古いものという意味。
推本溯源(すいほんそげん)
物事の根本を考えて、その全てを知ろうとすること。 根源を推察して、根源にさかのぼるという意味から。 「本を推して源に溯る」とも読む。
半推半就(はんすいはんしゅう)
心はやる気になっているが、表に出さないでやる気がないように見せること。 または、物事をなかなか決められずに悩むこと。 「推」は推し戻すや、辞退するという意味。 「就」はおもむくや、近づくという意味。 「半ば推し半ば就く」とも読む。