「筆」を含む四字熟語
「筆」を含む四字熟語 — 25 件
一筆啓上(いっぴつけいじょう)
筆をとって文章で申し上げるということ。 男子が手紙の書き出しに使う言葉。 「一筆」は一通の手紙。 「啓上」は申し上げるという意味。 安土桃山時代の本多作左衛門重次が、妻に書いた手紙の書き出しとして有名。
一筆勾消(いっぴつこうしょう)
今までのものを全て取り消すこと。 「勾消」は線を引いて消すこと。 帳簿などの今までの記録の上から線を引いて消すという意味から。 中国の北宋の時代に范中淹は、才能のない駄目な役人を名簿から消していったという故事から。 「一筆勾銷」とも書く。
一筆三礼(いっぴつさんらい)
慎みを持って、深く敬いながら仕事をすること。 写経するときは、一文字ごとに三回礼拝するという意味から。
一筆抹殺(いっぴつまっさつ)
あまり考えずに、全てのものを消し去ること。 または、過去に積み重ねた功績を考慮せずに、全てを否定すること。 一筆で記録を全て消し去るという意味から。
意到筆随(いとうひつずい)
文章を作るときに、思ったままに筆が進むこと。 文章を書きたいと思う気持ちのままに筆が進むという意味から。 「意(い)至りて筆(ふで)随(したが)う」とも読む。
燕頷投筆(えんがんとうひつ)
思い切った決意をして志を立てること。 または、文章を書く仕事をやめて、武の道に進むこと。 「燕頷」は燕のような顎という意味で、強く勇ましい人の人相。 「投筆」は筆を捨てること。 中国の後漢の班超は、筆書の仕事をしていたが、武功を上げたいと思い、筆書の仕事を止めて武将になったという故事から。 「燕頷(えんがん)筆を投ず」とも読む。
下筆成章(かひつせいしょう)
文章を作る速度が速い様子。 筆を持てば文章が出来上がるという意味から。 中国の三国時代の魏の文帝である曹丕を称した言葉。 「筆を下せば章を成す」とも読む。
懸腕直筆(けんわんちょくひつ)
書道の基本的な筆の使い方のこと。 姿勢を整えて、肘を脇から離して腕を水平に上げ、筆を垂直に持つ書き方をいう。 「懸腕」は腕をつけずに浮かせること。 「直筆」は垂直に筆を持つこと。
口誅筆伐(こうちゅうひつばつ)
言葉や文章を使って、相手を非難して攻撃すること。 「誅」と「伐」はどちらも罪人を責めて攻撃すること。
春秋筆法(しゅんじゅうのひっぽう)
簡潔な言葉や、文字の中に批評などの深い意味を隠す表現方法のこと。 または、平等で厳しい批評の態度のこと。 間接的な表現を使って真意を説くことをいう。 「春秋」は書物の名前で、中国の魯の国の歴史書を孔子が編集したとされる。 『春秋』の中には、簡潔な文章の中に、孔子の歴史批判が込められているということから。
心織筆耕(しんしょくひっこう)
文章を書くことで生計を立てること。 心で機を織って、筆で田畑を耕して暮らすという意味から。 中国の唐の詩人の王勃が人に頼まれて文章を作ると、お礼として車一杯に黄金をもらったということを、人々がからかったという故事から。
心正筆正(しんせいひつせい)
心が正しければ、その人の筆跡も整うということ。 中国の唐時代の書家、柳公権が穆宋皇帝に筆法を尋ねられたときに言ったとされる言葉。 「心(こころ)正(ただ)しければ筆(ふで)正(ただ)し」とも読む。
随感随筆(ずいかんずいひつ)
感じることをそのまま文章を書くこと。またはその文章。 「随感」は感じることをそのままにということ。 「随筆」は筆のむくままにという意味。
椽大之筆(てんだいのふで)
立派で堂々としている文章のたとえ。 「椽」は屋根を支える最も立派で太い木材。垂木。 中国の西晋の時代の王珣は、垂木のような大きな筆を授けられる夢を見て、そのように筆をふるう機会があるのではと思っていると、武帝が崩御して、忌辞などで堂々とした文章を書いたという故事から。
董狐之筆(とうこのふで)
圧力に負けずに、事実を曲げずに正しく歴史を書き記すこと。 「董狐」は晋の歴史記録官をしていた人の名前。 国王の霊公が殺害されたときに、宰相の趙盾の所業だと記載したが、実際には弟の趙穿が殺害したために趙盾は訂正を求めたが、弟を見逃した罪の重さを訴えて変えることがなかったという故事から。
刀筆之吏(とうひつのり)
文字を書き取ることを仕事にしている役人のこと。 筆と小刀を使って仕事をする位の低い役人という意味から。 紙のない時代は、木や竹に筆で文字を書き、書き誤ると小刀で削って修正していたということから。
特筆大書(とくひつたいしょ)
目立つように大きな文字で書くこと。 「特筆」は特別なものとして取り上げて書くこと。
屠毒筆墨(とどくのひつぼく)
読んだ人に害を及ぼす書物のこと。 「屠毒」は害を及ぼすこと。 「筆墨」は書物のこと。
筆耕硯田(ひっこうけんでん)
文章を書くことで収入を得て、生活する人のこと。 そのような人にとっての硯(すずり)を、農夫にとっての田に見立てたもので、筆で田を耕す意味から。
筆削褒貶(ひっさくほうへん)
公正で厳しく批評する春秋筆法を評する言葉。 「筆削」は必要な言葉を書き足したり、不必要な言葉を削ったりすること。 「褒貶」はよいところは褒め、悪いところは貶すこと。
筆硯紙墨(ひつけんしぼく)
読み書きをする道具、文房具、筆記具のこと。 「筆」と「硯」と「紙」と「墨」のことで、文房具の中でもよく使われたということから、文房具のことをいう。
筆墨硯紙(ひつぼくけんし)
読み書きをする道具、文房具、筆記具のこと。 「筆」と「墨」と「硯」と「紙」のことで、文房具の中でもよく使われたということから、文房具のことをいう。
筆力扛鼎(ひつりょくこうてい)
勢いがあって力強い文章のこと。 「筆力」は文章の勢いや筆遣い。 「扛鼎」は食べ物を煮るために使う青銅の器を持ち上げること。 青銅で出来た重い器を持ち上げるほど、筆力が強いという意味から。 「筆力(ひつりょく)鼎(かなえ)を扛(あ)ぐ」とも読む。
舞文曲筆(ぶぶんきょくひつ)
言葉を飾りつけるために、事実を曲げて文章を書くこと。 「舞文」は文章を飾るために、好き勝手に文章をいじること。 「曲筆」は事実を捻じ曲げて文章を書くこと。 「文を舞(ま)わしめ筆(ふで)を曲(ま)ぐ」とも読む。 「曲筆舞文」ともいう。
落筆点蠅(らくひつてんよう)
失敗をうまく取り繕うこと。 「点蠅」は蠅(はえ)の絵を描くことで、筆を落とした際の汚れをうまく蠅の絵にするという意味。 三国時代、呉の曹不興が孫権の命で絵を描いていたときに、誤って筆を落とした際の汚れを蠅に書き換えてうまく処理した故事から。
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